2011.6.5 酒を考える No.7 添加物について
酒類の表示・原材料表示
表示すべき項目
● 醸造所名又は氏名 ● 所在地 ● 容器の容量(内容量ではない) ● 日本酒又は清酒 ● 発泡性の有無
● 原材料名(米・米麹・醸造アルコール・清酒粕・焼酎・ブドウ糖・水飴・有機酸・アミノ酸塩・清酒等)
尚・発酵を助成促進し又は製造上の不測の危険を防止する等専ら製造の健全を期する目的で 仕込水又は
製造工程中に加える必要最低限の有機酸は 原材料に該当しないものとして差し支えなしとする
● 製造時期 ● 特定名称酒(特定名称・精米歩合) ● その他
乳酸にまつわる酒造りの話し
乳酸は 仕込水又は製造工程中に加える必要最低限の有機酸として 原料としては明記されない
日本酒は 醪(もろみ)を仕込む前に 酵母を培養する「酒母(もと)造り」から始まる
その作業は撹拌のため 培養をしているタンクの上蓋を開けたまま行なわざるをえない 故に
雑菌や野生酵母の混入を防ぐことが出来ない そのためそれらを駆逐する目的で乳酸が加えられる
このときに あらかじめ別に作っておいた乳酸を加えるのでなく 蔵や自然のなかに生息している
天然の乳酸菌を取り込んで それが生成する乳酸で雑菌や野生酵母を死滅・失活させるのが
「生酒母(きもと)」造りの基本的な特徴である 人工の乳酸菌を加えるのは速醸系酒母と言われる
「生酒母」はまた「山廃酒母」とに分化する 「生酒母」の酒母造りは 長い歳月をかけ自然界の法則を
巧みに利用して完成させた醸造技術で 伝統的で巧妙な酵母の純粋培養技術である
「生酒母」で作られる酒母の中では じつに多様な菌が次々に活動して生存競争を繰り広げていく
それぞれのライバル菌がタンクの中に同居していて 生育環境の最適pH値など
各菌それぞれの必要とする生存環境が異なるため 菌の勢力序列は刻々と推移していく
硝酸還元菌から始まり・野生酵母・産膜酵母が隆盛を極め 5日目ごろを境に それらは
乳酸菌によって駆逐され急減していくのである 一口に乳酸菌といっても多様な種類があり
大きく球型と稈型に分けられるが 12日目ごろは球型乳酸菌が 15日目ごろには稈型乳酸菌が
隆盛のピークを迎えるようになる しかしそれぞれピーク後は 自ら生成した酸により死滅していく
この頃には酒母は乳酸を豊潤に含み 雑菌や野生酵母が入り込める余地がなくなる
状態を見極めた杜氏が 乳酸に強い清酒酵母を投入し 時間を掛けて増殖・培養させていくのである
しかし投入された清酒酵母の中でも 生命力の弱いものは途中で淘汰され 生存競争を生き抜いた
強靱な酵母だけを残し育て 気候や酒米の状態などを考慮し 中から最適と思われる系統だけ選抜育成して
醪の発酵に用いることになる 「生酒母」においては 菌や酵母の生存競争が長い時間をかけて行なわれ
生き残った酵母の生命力が強く 吟醸造りの低温環境においても 醗酵中またはその醪末期の死滅率が低く
死滅した酵母から溶け出す余分なアミノ酸も少なくなる 以上の理由で「生酒母」造りの酒は
きめ細かく まったりとした吟味を出し 熟成させても腰が崩れない酒になる
酒中で生成される酸も実に多様で 健全醗酵によって生成された酸はきれいな旨味の素となる
山廃仕込とは
生酒母造りの工程で 半切桶に仕込んだ酒母に荒櫂(あらがい)を入れて摺る作業のことを
山卸(やまおろし)と言い 麹の作用で蒸米の糖化を助け 濃醇でキレの良い酒を作る目的で行なわれる
しかし 昔より「櫂でつぶすな 麹で溶かせ」などとと言われ
非常にデリケートな力加減を要する高度な熟達した技術が必要になる
しかも 冬季極寒の深夜に一晩中丹念に櫂を入れ続けなければならないため
蔵人たちに敬遠され続けてきた重労働であった
明治42年(1909)国立醸造試験所で この山卸の作業を省略することを前提とした
山卸廃止酒母造りの技法(山廃仕込)が開発され 今日の「山廃づくり」の基礎となった
今では機械精米が発達して精米歩合も低くなって麹が絡みやすくなり
山卸作業は必ずしも必要な作業ではなくなった
現在では 「生酒母(きもと)」系の中心を成す仕込み方法であるが 日数を要する事から
乳酸菌を加える速醸系に変える蔵元が多い
ブドウ糖
自然界に最も多く存在する糖類 果実や蜂蜜に多く含まれる単糖類で 血液中に血糖として含まれる
水溶性が高く砂糖に比べ爽やかな甘味を持ち 甘味料・調味料・医薬栄養剤・注射用剤・醸造用に使用
主にコーンスターチなどの澱粉から成製される
水飴
デンプンを 酸や糖化酵素で糖化して作られる粘液状の甘味料
主成分は麦芽糖で 他にブドウ糖・デキストリンなど含む
酸糖化法で製造された水飴は 無色透明でほぼ水分と糖質しか含まない 調理材料として広範に利用され
砂糖が日本に伝来する前には 主要な甘味料として利用されていた
コハク酸
貝類に含まれるうま味物質である pH調整剤や調味料として食品に用いられる
うま味を感じさせる作用は コハク酸ナトリウムの方が高い
クエン酸
柑橘類などに含まれる有機化合物で 漢字では「枸櫞酸」と書く 枸櫞とは中国産のレモンの一種である

レモンをはじめ柑橘類に多く含まれていることからこの名がついた
柑橘類の酸味の原因はクエン酸の味に因るものが多い また梅干しにも多量に含まれている
酸味料として添加される
リンゴ酸
爽快感のある酸味を持つ 飲料や食品の酸味料・pH調整剤・乳化剤として用いられる
グルタミン酸ソーダ
グルタミン酸ナトリウム(グルタミン酸ソーダ)化学調味料として多用されている物質で
「味の素」の97.5%を占める 旨味調味料・科学調味料・アミノ酸等と表示される







