2006.10.13  草刈考

草刈りの手伝いで 約1ヶ月の間 奮闘した
特に後半は一人での作業となり 俄・杣人としては大変な作業であった

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一年もの間 放置された草や笹藪などは背丈ほどもあり  又陰に隠れた岩や石など障害物も多く
また 大半が斜面である 草刈りの目的は櫟林の下草刈りで 方言で「根ざれ」と呼ぶ

作業を進めつつ「疑問」にとらわれる・・・・・「なぜ秋に? 刈るのか?」
草の大半は「多年草」である 笹も地下茎に養分を貯めることで「多年草」と同質である
多年草は春に 前年貯め込んだ養分で芽を出し成長する 夏は盛んに光合成をして
地下茎や球根に養分を貯める 秋にはもう一連の生殖作用は完了し 後は枯れるのを待つだけである
いわゆる植物生理学から言えば 秋の草刈りほど不合理な物はない
ではなぜ秋に草刈りをするのか?

草刈り風物として有名な宮崎県高千穂の「刈干切り」がある
「刈り干し」とは 秋にススキ(茅)を刈り乾燥させることである
嘗てススキは 屋根葺き材として 牛の餌として 炭俵の材料として農村農家には欠かせない
「イネ科の多年草」で 作物と同様に貴重なものであった
また ススキに限らず草は 冬の間の家畜の餌として 稲わらと同様大切なものでもあった
故に 古より草刈りは 草が根に養分を貯め込んだ秋なのであり 本来は収穫作業なのである

しかし 機械化され家畜のいない現在では 雑草の駆除である
その限りにおいては 根に養分を貯める前に刈るのが「合理的である」
と思いながら汗を流すのであった

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