2007.2.19  中国残留孤児

日本に永住帰国した中国残留孤児40人が 国が速やかに帰国措置や永住後の自立支援義務を怠たり
就労や教育で不利益を被ったとして 計13億2千万円(1人3300万円)の賠償を
国に求めた訴訟の判決が 2006年1月30日 東京地裁であった
加藤謙一裁判長は「早期帰国を実現する法的義務や法的な自立支援義務を国が負うとは認められない」と
原告側の請求をすべて棄却した 「日本の生活習慣に慣れない孤児が一挙に大量に帰国すれば
円滑に定着することは困難」などと述べて 国の帰国支援策に問題はないとの見方を示した
東京訴訟でも 孤児たちは 多くが日本語を十分に話せず 生活に窮していると訴えた
訴訟を通じ 制約の多い生活保護ではなく 新たな支援策の創設を国に求めた
これに対し判決は 民間人を保護しなかった日本軍の作戦行動などが
孤児発生の原因になったとの認識を示しつつも
「直接的な原因はソ連軍との戦闘行為やソ連兵 現地住民による犯罪行為だった」と指摘した

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当時の軍部(関東軍)とソ連軍やソ連兵 日本人に反感を持つ現地住民(中国人)に責任を転嫁し
尚かつ当時の日本政府が採った行動に 何ら問題を含んではいないという 甚だ稚拙な判断である
8月15日のポツダム宣言の受諾は戦争の終結を意味しないことは国際法上明確である
「宣言の受諾後速やかに停戦協議に入り 現地日本人の生命財産を守る義務」を放棄し
阿呆のようになって 何の手だても対策もしなかった国を擁護し
軍部のみに責任を押しつけた 国の戦争処理に責任は無いという判断は
国際的にも日本の対外政策の 今日的幼稚さを露呈したものである と私は思う

植民地や戦争をめぐる国の政策は高度の政治的判断に基づくとした地裁の判決

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「高度の政治判断」とは何なのか 明確に具体的に示すべきである
司法が判断できかねると言うことなら 裁判所はいらない
国家行政に追随する司法の姿を これ又露呈しているとしか言いようがない
小学校で習う三権分立は虚構であり 子供にこの国は嘘を教えている と私は思う

「政策と孤児発生との因果関係の有無に対し 法的判断を加えることに疑問の念を禁じ得ない」と述べ
その上で 孤児たちが既に日本語を母国語にすることは困難なうえ
「戦争による損害は国民がひとしく受忍しなければならず
孤児たちを特別扱いする合理的理由は見いだしがたい」とした判決

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この判断によれば
「対外的政策とそれによる現地邦人の損害に対し 法律家として判断を加えることに疑念があるため
司法として 何ら国家に責任を負わせることは出来ない」
と言うことらしいが 満州こそ日本の生命線と豪語し 鳴り物入りで満蒙開拓に国民を
駆り出していったのは いったい誰なのだ 戦争による損害は 参政権も持たなかった人も
幼い子供たちも 幼児も含め 国民が等しく受忍しなければならないとすれば
満州に取り残された子供たちや南方戦線で未だに遺骨すら帰ってこない人と
戦争責任も問われず地位も生命も失うことがなかった官僚達が 同じ責任を等しく受認したのか?
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満州には 少年達も義勇兵として多く移住した

国に早期帰国を実現する義務はないと判断した 国による永住帰国後の自立支援策について
加藤裁判長は「原告に多くの不満があることは理解できる」としながら
「人道的な見地から実行されたもので、生活保護を受けられることを考慮すると
違法または著しく不当とは言えない」と述べた

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結論的に言えばこの判決は 中国残留孤児を他国難民と勘違いしているのではないだろうか
文句が有れば中国に帰れと言わんばかりである
又 福祉政策を人道的支援として生活保護者をもすべて 生活難民者として見ていないだろうか
司法の 常識的・人間的ヒューマニズムが問われる裁判官と判決である
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