2011.6.5  酒を考える No.5 品質規定と酒税

清酒に対する品質規定には酒税法が深く介在する

昭和15年(1940)戦時体制による米不足から起因した「水増し酒」を取り締まるため
アルコール濃度の規格が作られ 日本酒級別制度が導入され
政府の監査により 特級・上級・中級・並の4階級が審査され税額がそれぞれに決められた
これは 取り締まり目的と税の増収を狙った法制度であり
この税収方法は 平成元年(1988)の清酒等級廃止まで 約半世紀の間続くこととなった

戦後の昭和37年(1962)4階級の制度は 特級・一級・二級の三段階になったが 特級と一級にするには
申告し許可を受ける必要があった しかし引き替えに税負担がのしかかり販売価格も高くなった
明確な 数値的・科学的審査基準もなく 香りやコク・味覚といった五感に頼る感覚的なものであり
あえて審査を受けず 二級酒に甘んじて価格を抑える酒が現れ 二級酒なのに旨い酒があると話題になった

昭和37年(1962)清酒に対する等級別酒税

  1キロリットル課税額 1升(1.8リットル)
特級酒 570.600 円 1.027 円 08 銭
1級酒 279.500 円 503 円 10 銭
2級酒 107.900 円 194 円 22 銭
◇昭和37年(1962)改正法による 清酒の定義と許可された添加物
清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が22度未満のものをいう
(イ) 米・米こうじ及び水を原料として発酵させて こしたもの
(ロ) 米・米こうじ・水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて こしたもの
    その原料中当該政令で定める物品の重量合計が 米・麹米の合計重量の50%を超えないこと
(ハ) 清酒に清酒かすを加えて こしたもの

◇酒税法施行令 昭和37年3月31日政令第97号
清酒の原料
 第2条  法第3条第7号(ロ)に規定する清酒の原料として政令で定める物品は(編集)
麦・粟・トウモロコシ・コウリャン・キビ・稗・若しくは「でんぷん」
 または「これらの麹」(平成18年5月1日に除外された項目)
アルコール分が36度未満の連続式蒸留焼酎または単式蒸留焼酎 または これに水を加えたもの
 政令で定める砂糖やその他の政令で定める物品を加えたもので添加するエキス分は2%未満であること
 アルコールに該当する酒類でアルコール分が36度以上45度以下のもの
 ただし 水以外の物品を加えたものは除く
ぶどう糖その他財務省令で定める糖類 有機酸 アミノ酸塩又は清酒とする

平成元年(1988) 税率改正

平成元年(1988)清酒の等級廃止 特級酒を廃止 1級・2級酒は平成4年まで廃止暫定期間が設けられた

清酒アルコール濃度 1キロリットル課税額 1升(1.8リットル)
15度以上16度未満 133.700 円 240 円 66 銭
16度以上 15度を超える1度毎に 8.920 円加算 16 円 05 銭加算
8度以上15度未満 15度を下がる1度毎に 8.920 円減算 16 円 05 銭減算
8度未満 71.260 円 128 円 26 銭

ウィスキーの貿易自由化により 酒税体系への外圧が強まって 度数による逓増税率を採用する
洋酒の税率が下がり共に清酒の税率も下がったが 平成元年(1988)から3%の消費税導入となって
ガソリン税と同様 酒税に対しても消費税が掛かることになった

度数逓増税率を採用することで 日本酒の度数は 全体的に15度以上16度未満が標準となった
現在もこの状態が続いている 淡麗酒と称してアルコール濃度の薄い酒も出回ったが
酒の低アルコール化が進む時代にあって抵抗なく受け入れられた

平成2年(1989)清酒の製法品質表示基準が定められる

平成3年(1990)4月より施行

特定名称 米.米麹.水以外の使用原料 精米歩合 麹米率 その他の要件
純米   15%以上 香味及び色沢が良好なもの
純米吟醸 60%以下 15%以上 吟醸造りをしたもので 固有の
香味及び色沢が良好なもの
純米大吟醸 50%以下 15%以上 吟醸造りをしたもので 固有の
香味及び色沢が良好なもの
特別純米 60%以下
または特別な製造方法
15%以上 香味及び色沢が良好なもの
本醸造 醸造アルコール 70%以下 15%以上 香味及び色沢が良好なもの
特別本醸造 醸造アルコール 60%以下
または特別な製造方法
15%以上 香味及び色沢が良好なもの
吟醸 醸造アルコール 60%以下 15%以上 吟醸造りをしたもので 固有の
香味及び 色沢が良好なもの
大吟醸 醸造アルコール 50%以下 15%以上 吟醸造りをしたもので 固有の
香味及び色沢が良好なもの
特定以外 醸造アルコール
他政令規定物全て添加可
規定なし 70%超 規定なし 政令通りとする
特別純米酒・特別本醸造酒の製造法については 説明表示が義務付けられている
上記の要件以外に 特定名称酒に共通して適用される条件として 次の2項目の規定がある
 1.農産物検査法により 3等以上に格付けされた玄米 またはこれに相当する玄米を精米し使用すること
 2.醸造アルコールについては アルコール分95度換算で 白米重量の10%を超えないものに限ること
2003年10月 麹米使用率15%以上を追加する 純米酒の精米歩合70%以下を削除する
特定名称酒すべてに精米歩合を1%きざみで表記する
普通酒については政令に規定する以外定めはない
H17年度まで国税庁の「酒造年度清酒製造状況等」では
 普通酒(糖類・グルタミン酸ソーダ添加の明記がない)・増醸酒(添加物全て混合)に分かれていた
 H18年度より「特定名称酒以外の清酒」として一括表記されている(生産量・全量の75%以上)

平成13年5月1日 税率改正

清酒アルコール濃度 1キロリットル課税額 1升(1.8リットル)
15度以上16度未満 140.500 円 252 円 90 銭
16度以上 15度を超える1度毎に 9.370 円加算 16 円 87 銭加算
8度以上15度未満 15度を下がる1度毎に 9.370 円減算 16 円 87 銭減算
8度未満 74.910 円 134 円 84 銭

平成18年5月1日 税率改正

清酒に於ける度数による逓増税率を廃止
醸造酒類基本税率 1キロリットル 140.000 円 但し清酒特別税率 120.000 円(1.8リットル 216 円)

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