トロッコ

家の近くに溜め池があり その池を埋め立てるために「土方」と言われる 土建業の人たちがやってきた
「ブルドーザー」や「ユンボ」など国家的大事業では見ることが出来ても
たかが溜め池の土手を切り崩す程度の工事では使わない 「つるはし」と「スコップ」
それに池の周りに運搬用のトロッコが施敷された いわゆる軽便鉄道と同じような鉄路である
昭和の子供たちはこのような物は 大好きである たちまち格好の遊び道具となってしまう
只遊ぶだけではない土砂が満載になるのを待ちそれを押して走ったり
空になったトロッコに載ったり押したりするのである 人がいなくなった時間ではなく学校が終わっての午後
それも作業中のことで 昔は親もこんな危険な遊びを放置していたし 現場監督すら容認していたのだから
今だったら大変な騒ぎになるところである しかし子供自身・年長者の統率の元「けが」をする事もなく
難なくやってのけてしまうことも今では無いことかも知れない

後日工事が完了して 現場監督が我が家に来て子供達を集め
各々母親臨席の上それぞれに見合った工賃を子供達に支払った
こういう大人も又それを子供の稼ぎとして黙認する母親達の心も今では存在すら不可能であろう
トロッコ
自分たちも手伝って埋め立てられた池の跡地は長い間 我々の草野球のグランドであった