テガサス
昔の台所などは狭いもので たかだか三畳程度の部屋にぎっしりと物が詰まっていて その中で火を扱う訳だから危険この上なしといった風がある 据え置きの竈で飯を炊き その他の煮炊きは七輪である
関西ではなぜか竈は「おくどさん」で 七輪を「かんてき」と呼ぶ 火興しは子供の役目で薪を割り裂いて
火種を作り 薪をくべたり炭をおこす この経験は今もバーベキューやキャンプで十分役立っている
ある日「新し物好き」の母は石油コンロを買った その頃全く新しいコンロで 石油を燃料とした物では
石油ストーブより早く作られた物で 灯油ランプを単純に大きくしたようなものである
燃料となる石油と言えば今のようにポリタンクで買うのではなく 塗料のようにスチール製の一斗缶に入った
石油を買う 精製状態も悪いのか 匂い激しく煤がいっぱい出る メーカーはどこかと言えば「テガサス」と
カタカナで書いてある 天馬マークの「ペガサス石油」じゃなく 指さしマークの「テガサス」
これって関西人の駄洒落じゃないですか

結局数回使って物置へ そのあとに物置から帰ってきた竈がデンと据わっていた
*注 コンロ:こんろ【焜炉】とは純粋な日本語で いわゆる七輪の構造をした
土器製の持ち運び可能な物 英語では ストーブである