タイガー計算機

私は工業高校の機械科を卒業している 在校中は英・国・数・社の一般教科と共に専門教科もあり
その上実習も有りそれなりに大変だが それに加えて特に生徒の就職という問題を控える実業高校としては
生徒に資格を取得させることにも時間を割く 商業高校では簿記や珠算と言ったことになるが
工業の機械科では年齢的にもそれと言った資格もなく 実務経験もなく使えるものとして計算尺の検定があった
計算尺はスライドさせる尺と 読みとりのカーソルとで構成された物で 乗除・三角関数・対数などが計算されるが
目盛りを読みとるので計算値は近似値となり正確さは欠ける こんな物はいつかは廃れる物だと感じていたが
とにかく最低級の4級の資格は取った しかし社会に出てからは計算尺を使うことも無かった
三角関数は関数表を使い加減計算は算盤で行い 乗除の計算は手回し計算機があった
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タイガー計算機と言うメーカーがあって昭和45年頃まで生産をしていたが 電子卓上計算機いわゆる
電卓の普及と共に事務所からも姿を消した 電卓も最初の頃は大きくて表示も今のような液晶では無く
電光盤で表示され価格も高かった

永く図面を描く仕事を続けてきたが 学生時代はT定規や三角定規から始まり
卒業前にはドラフターと言う製図器に変り そのドラフターもアーム式からトラック方式に変り
平成の時代ともなるとCADソフトを使ってPCで図面を描くことになる
CADソフトは実際には原寸で図面を描くのであり データー上でそれを画面に縮小して表示するのである
寸法は全て原寸で記入する 手書きの場合縮尺スケール定規で目盛りを読みとり書き写さなくてはならないので
CADの出現によってきわめて正確に図面が引けるようになった 落ち着いて正確に図面を書けばおそらく
ミスは無くなる 寸法記入のミスは皆無であると言って過言ではない
その他面積や円周距離や弧長も計算してくれるので有り難かった

我々団塊の世代は明治の文明開化の世代と肩を並べるくらい 生涯の中で物が様変わりした経験を持っている
「もの」が様変わりしたにもかかわらず
世の中のシステムというシステムが あまりにも遅々として変革がないのはどうしてだろうか?