丸太小屋を建てる
地鎮祭から竣工までの写真
今度は「ログハウスに住みたい」が夢になった しかし 借金はしたくないという思いがあって
乏しい建設資金と斜面という状況でのメンテナンスを考えれば 比較的コストが安く
メンテナンスも容易な 在来工法による<ポスト&ビーム>と言われる「丸太小屋」となった
実のところ夫婦共に関西生まれで 私の実家は奈良にある 奈良と京都は日本を代表する古都であり
その古都奈良に今も存在する 法隆寺や唐招提寺も 簡素に考えれば立派な「丸太小屋」なのである
樹木は通常大地より上へ伸びる 根から吸水するため繊維は下から上へ通る
立てて使えば丈夫だが 横に寝かせれば容易に小口や表皮から吸水腐敗して朽ち果てる
別荘地に放置され腐食し崩壊するログハウスを見るにつけ つくづく温暖湿潤な日本の気候には
「カナディアンログハウス」は不向きであると思うのである
ログハウスへの思いが強かった当初に数軒のモデルハウスを見学したが 年数を経た建築物は少なく
経年的な不具合を見出すには至らなかったが 一度 ログハウスのホテルに宿泊する機会を得た
暖炉がある天井の高いホールは素晴らしいと思ったが 居室の山側にあるログの下部が腐敗しており
隙間風が吹き込んで寒い思いをした やはり「カナディアンログ」はやめた方が良いと思った
わが家の建築にあたり 決めたコンセプトは「和風」と「古民家風」
しかし小屋組には シンプルなトラスを用いるなど とらわれることなく洋式建築の合理性も折衷した
木材は乾燥して古くなると 表面が銀灰色になってくることが多々ありこれが普通である
そのため あえてブラウン系の色を使わず 木部塗装はキシラデコールのシルバーグレイとし
外壁には「桜色」の漆喰壁を採用した 銀黒石州和瓦葺きと併せて ひと味違ったログハウスとなった
雑誌「夢の丸太小屋に暮らす」平成14年(2002)1月早春号に掲載
不思議な色合いの邸はまるで古民家 「家は長く使うもの 時間がたてば丸太の色も漆喰の壁も変色して
落ち着いた色になる いずれそうなるのであれば 最初から古風な色に塗装してしまいたかった」と
壁は桜色のカラー漆喰 木部はキシラデコールのシルバーグレイ
この家には 古民家をほうふつさせる古風でレトロな素材がちりばめられている
屋根材には台風の多い九州で選んでおきたい和瓦を採用している
外壁のシックなカラーリングと平屋建ての外観に違和感なく溶け込んでいる
キッチンは玄関続きの土間で土足で入ることができる 和室のガラス障子を開ければたちまち大広間に大変身だ
和洋折衷の我が家 固定観念にとらわれない発想で家を創る
地元産の木材を使った地産地消の家・長尺材を使わず定尺4m玉切材使用でコストダウンを図る
オール吹き抜けの開放的な天井・室内無塗装・桜色の珪藻土入漆喰壁
和風に馴染む 30mm 厚杉板フローリング・バリアフリーの床・床断熱・断熱効果の高い障子を採用
採光を優先した三枚引き戸のガラス障子・桜色漆喰壁とシルバーグレーの塗装で落ち着きを
外壁腰羽目板でシックに・塗料はキシラデコール・外壁基礎を150厚の頑丈な基礎
内側を埋め戻し布基礎にしてコストダウンを計る
マンション暮らしの経験から玄関は不要と判断・ユニットバス採用・クローゼット(納戸)で集中収容
解放が原則の引戸を多用・夫婦だけの住まいなので寝室に扉は不要とした(必要に応じて暖簾を掛ける)
約25uのロフトは自由空間・薪ストーブと天井扇で二酸化炭素排出削減・冬季の灯油購入費0円
DIYでキッチン流し台を作る・流しは中古業務用・キチン収納は引き出し・夫婦で使える書斎を作る
引っ越し後にとまどうことのないように キッチンのレイアウトは前家配置をそのままに
電気温水器は「エコ」になる・地形段差で地下室(物置作業場)を設ける
通風も考慮し東西に4室を貫く引き戸配置・非常用も考え東西に出入り口を付ける
デッドスペースを無くしてトイレは奥行き広く・ペアガラスの断熱サッシ
雨仕舞の簡単なシンプルな切妻大屋根を採用・畑で採れた野菜をそのまま洗える玄関横の流し
土足で入る台所の床はコンクリートモルタル仕上げ
未完成の家にすることで住みながら考えながらのDIYも楽しみのひとつ
せっかく建てた家でも失敗はある
バルコニーの柱をデザイン優先で丸太としたのは良かったが 雨ざらしの為 床板や手摺りや
梁のボゾ穴から雨水がしみこみ 数年でバームクーヘンのように剥がれてしまった 丸太芯の赤太部分は
油分も多く腐りにくいが 周辺の白肉部は腐りやすい また乾燥収縮と共に丸太表皮がひび割れて
容易に水分を吸収してしまう 部材交換もホゾ組の為簡単には出来ない
この問題を解決するためには 後に腐食した部材だけを交換出来るような構造にする必要がある
そのためデザインを重視するより左の図のように組む方が良い この方法で組めば腐食された部材の交換は容易に行える 日本家屋には見られない方法だが機能的かつ合理的と思う また屋根を造作しその上にバルコニーを載せる方法もある
その他 地下室前にも外壁のメンテナンスを考えるとバルコニーがあった方が良かったと後悔している
敢えて未完成の部分を残し 住みながら・考えながら DIYで完成を目指す
薪ストーブを設置
長野県のストーブ工房「山林舎」にオーダー 煙突は長野県「ストーブ屋」から国産の煙突を購入
ストーブ台はコンクリートブロックを敷き詰め 0.6tブリキ板を載せ黒色塗装 煙突工事はDIY
眼鏡石は自作・コンクリート製・貫通用スリーブは塗料缶流用 型枠板をそのまま壁に固定
長い間仮置き家具で 「ゴチャゴチャ」していたキッチンの改造に取り組む
パモウナ製食器棚下台60cm仕上柄オーダー・収納力が大きい引き出し式 耐荷重20kg
オーストリア・ブルム社レール・引出前板の微調整可能
無塗装タモ集成材カウンター・タモ集成材カップボード・ガラス棚・扉は廃棄物流用
トップカウンター:タモ集成材・下足箱:米松集成材 シナ合板
無塗装・杉無垢材床の手入れ
子供の頃 学校の床掃除には ヌカ袋を使っていたことを思い出す ヌカを煎り布袋に詰めたものを
持参して登校した 今では袋入りの白米を買うためヌカの入手は不可能に近い
カネミ油症後 米ヌカ油も食用としては一般に販売されていない 木材用のワックス艶出し剤としては
「ウッド・ブラン」と「キヌカ」が入手可能である どちらも米ヌカ油由来の天然油脂で出来ているため
安全で「シックハウス症候群」の起因にはなり難い
床に一度塗ると浸透して 二回目からの塗布量は少なくてすむ 我ヶ家では数年に一度の割合である