長谷緒井路(はせおいろ)分水器とも呼ばれ 大野川支流のひとつである奥岳川上流を水源とする長谷緒井路の施設である
長谷緒土地改良区は 祖母山麓の標高310から330m程度の中山間地で 井路の開削は 明治22年(1889)に発議され
昭和13年(1938)通水に成功した 頭首口を標高420mの奥岳川上流に設置し 幹線水路距離は約21kmにも及ぶ大工事であった
井路の竣工により 小原・栗生・中野・木野地区の面積180haの農地を潤す事になった
昭和59年(1984)には 改良区の維持管理節減および組合員の賦課金軽減を図るため「農山漁村電気導入促進法」による
小水力発電所の建設に着手 平成2年(1990)3月に着工 翌平成3年3月に長谷緒井路発電所を竣工し運転を開始した
烏嶽円形分水
円形の分水器は 小原・栗生地区と中野・木野地区へ分水するために 通水成功前の昭和11年(1936)に竣工した
長谷緒井路の水は牧式分水と呼ばれるサイフォンの原理を利用し 円形分水の手前から潜り
分水器の中央から吹き上る構造となっている 受益面積に応じて水量が変化しても常に一定の比率で分水されることから
現在に於いても至極合理的な構造となっている なお円形分水は全国に30ヶ所ほど存在するとされる
また 九州地方では「円形分水」と呼ぶが その他の地域では「円筒分水」と呼ばれることが多い