月日は百代の過客にして 行きかふ年も又旅人也(芭蕉・奥の細道)
うつせみ
「この世に人としての姿を現しているもの」または「生きている現実の人」を表す上代の言葉である
「うつしおみ(現し臣)」が 「うつそみ(現身)」を経て 「うつせみ」に転じ
「空蝉」「虚蝉」の文字を充てたことから 今では蝉の抜け殻 または蝉そのものを表す言葉となった
万葉の枕言葉としては 人や世間・現世の意味から「世」や「世の人」などにかかり
また 蝉の抜け殻の意味から「むなしさ」「わびしさ」などにかかる言葉となっている
万葉集第一巻
うつせみの 命を惜しみ 波に濡れ 伊良虞の島の 玉藻刈り食む (詠み人知らず)
意味:命惜しさに 波に濡れながら 伊良虞(いらご)の島の藻をとって食べるのです
うつせみの 世は常なしと 知るものを 秋風寒み 偲ひつるかも (大伴家持)
意味:この世ははかないものと知ってはいますが 秋風が寒く (妻のことを)思い出します