日本の棚田百選に数えられている石積棚田で 一般的には「岳の棚田」として総称されている
島原半島最大の河川である千々石川(延長12.98km流域面積35.37平方km)の最上流部に位置し 現在は上岳と下岳に分かれるが
旧小字名に清水・鳥屋平・岳屋敷などの地名が見られる 上岳地区を流れる清水川が旧来の本流であるが
上岳下部で雲仙の別所ダムから流れ落ちる千々石川と合流する また 上流部は安定した豊富な水量を持つことから
明治から大正にかけて五ヶ所の水力発電所が建設され 現在でも四ヶ所の水力発電所が稼働している
この水力発電開発により 発電所用水路からの引水が棚田の開発を押し進める要因になったとされる
支流の清水川に沿う上岳で標高350〜450mに 千々石川に沿う下岳で標高200〜350mに それぞれ集落と農地が展開しているが
尾根に遮られる上岳の方が日照条件が悪く それに比べて日照条件の良い下岳は 上岳に比べて平坦地が多く棚田面積も広い
田は土石流崩壊地に築かれたものが多く豊富な湧水と河川水 そして石積用の安山岩やデイサイトに恵まれたことが要件となっている
石積のほとんどが野面積みと乱積みで 棚田面積は下岳に約20ha・上岳の岳屋敷(清水川の最奥部)の5ha
千々石川本流の上清水に5ha程が広がっている 棚田百選の「清水棚田」は この「清水川」に由来しており 一枚一枚の棚田は
等高線に沿って細長い曲線を描いていることが大きな特色として挙げられる