2023.11.06 暁・東雲・曙・朝朗け あさやけ
朝焼けは 日の出時の太陽が地平線下-6°くらいに近づくときから東の空で雲が紅黄色に輝く現象を言う
夕焼けと同じで 日の出時も太陽光線が最も厚い大気層を通過して地上に達することになり
このときに生じる散乱光の強さは 光の波長の4乗に反比例するため 可視光線中で最も波長の長い赤に近い光線が
最後まで散乱されずに残り 地平線から順に赤~橙~黄といったグラデーションが出現する
観天望気では 夕焼けは晴れに朝焼けは雨になると伝わる これが当てはまるのは 移動性の高気圧と低気圧が
交互し周期的にやって来る春や秋の季節である
朝焼けの言葉は近世江戸時代に生まれたもので 夕焼けとともに夏が最も鮮やかなため夏の季語とされている
昔から使われる大和言葉には 暁(あかつき)東雲(しののめ)曙(あけぼの)朝朗け(あさぼらけ)といった
言葉がある それぞれが表す時間帯が微妙であること自体 大和言葉らしい特徴となっている
暁は 夜半(丑三つ時)から樹木や山の姿が確認できる頃までの時間帯を表す
奈良時代までは未明(あかとき)と呼ばれ 平安時代に「あかつき」に転訛したとされる
季語として使う場合「春暁」「秋暁」「寒暁」「夏暁」のように季節を表す文字や言葉を付け加える
曙は 日の出直前の状態を指し 地平線や水平線が赤くなる状態を表している
曙は 清少納言が枕草子で「春は曙」と詠み 後世に伝わったことから春の季語として定着している
東雲は この暁と曙の間で 空が明るく白んでいる状態を表す言葉である 語源および由来は「篠の目」とされ
土壁に設けた篠竹で編んだ明かり採りのことで 篠竹の目を通して差し込む決して明るいとは言えない光に
例えた言葉であった その大和言葉に明け方を象徴する「東雲」の漢字を当てはめた
「朝朗け」も古今和歌集などに記載される古い言葉で 一般に曙よりも明るくなった時間帯を指すと言われるが
判然としない 枕草子以降 曙が春に結び付けられると 相対的に秋冬に結び付けられ和歌に多用されている