和歌山電鐵貴志川線

和歌山電鐵貴志川線(きしがわせん)は 和歌山市のJR和歌山駅から紀の川市貴志駅までを結ぶ鉄道路線である
通称「わかやま電鉄貴志川線」
路線距離(営業キロ):14.3km 軌間:1067mm 全線単線 全線電化(直流600V)
駅数:14駅(有人駅は和歌山駅・伊太祈曽駅 交換駅:日前宮駅・岡崎前駅・伊太祈曽駅)
経営母体の和歌山電鐵株式会社は 岡山電気軌道が100%出資する子会社で両備グループ内会社である
本社は貴志川線伊太祈曽駅構内にある 社名は親会社の岡山電気軌道が社名を一般公募し
「時代に流されない、地域に根ざした名前」であることから 選定委員会で選出された
電鐵が旧字体の「鐵」となっているのは 「鉄」の文字は「金」を「失」うと書き縁起が悪いことと
また旧来の「鉄道の基本」に立ち返るという意味であえて使用したものとされる
平成17年(2005)6月27日 貴志川線の運営会社として設立
翌平成18年(2006)4月1日 南海電気鉄道から貴志川線の運行を引き継いだ
このユニークな鉄道会社の誕生は 南海電鉄が貴志川線の廃止検討を表明したことに対し
貴志川町くらしを環境を良くする会 南海貴志川線応援勝手連 和歌山市民アクティブネットワーク(WCAN)
など沿線市民組織が存続運動を行い NHKの『難問解決!ご近所の底力』が市民組織に出演を打診したことに始まる
出演した旧貴志川町・長山団地住民が中心になって貴志川線の未来をつくる会が正式に設立され
6000人を越える会員を集めて注目される つくる会を先頭に各市民組織の活動が存続に向け盛り上がりを見せる中
WCAN貴志川線分科会が貴志川線存続の経済効果(費用対効果)分析を行い存続の意義を社会的・科学的に裏付けた
このことにより自治体関係者も存続の意思を固め 鉄道用地などを南海電鉄側から買収することを決定
しかし財政逼迫と他社線第三セクターの窮状を考慮し運行主体を民間の企業等から公募することになり
企業と個人合わせ「9」の応募があった 岡山電気軌道は締め切りの最終日まで応募を迷っていたとされ
和歌山の市民団体から応募依頼状が届いたこと 岡山県に本拠を置く市民グループ
「路面電車と都市の未来を考える会」から推挙
地元近畿地方の鉄道軌道事業者からの応募がないことなどを考えて応募を決断したとされる
選考の結果 軌道運行の経験を有する岡山電気軌道が選出された
和歌山市に設立された新会社のモットーは「日本一心豊かなローカル線になりたい」である
和歌山電鐵には運営の最高意思決定機関として貴志川線運営委員会が設置されている
この機関は地元自治体・沿線住民・沿線学校関係者・商工会と和歌山電鐵で組織されており
その新しい試みに注目が集まる
車両は 南海電気鉄道から2270系電車(南海貴志川線専用車両)12両全てが無償譲渡された
平成18年(2006)「いちご電車」 平成19年(2007)「おもちゃ電車」平成21年(2009)「たま電車」が
それぞれ運行開始 デザインは岡山電気軌道の9200形電車(MOMO)などをデザインした水戸岡鋭治氏が担当
路線駅
和歌山−田中口−日前宮(にちぜんぐう)−神前(こうざき)−竈山(かまやま)−交通センター前−岡崎前駅
−吉礼(きれ)−伊太祈曽(いだきそ)−山東(さんどう)−大池遊園(おいけゆうえん)−西山口−
甘露寺前(かんろじまえ)−貴志
和歌山電鐵ホームページ:http://www.wakayama-dentetsu.co.jp/
貴志川線の未来を”つくる”会:http://kishigawa-sen.jp/

スーパー駅長「たま」のこと

「たま」は 和歌山電鐵貴志川線貴志駅において駅長を勤めている雌の三毛猫の愛称
平成19年(2007)1月5日に和歌山電鐵から正式に駅長に任命され その主な業務は「客招き」である
任期はなく終身雇用であり 報酬は年俸としてのキャットフード1年分となっている
母猫である「ミーコ」は 南海電気鉄道時代の貴志駅舎南側にあった倉庫内の作業員詰め所で飼われていた
一駅隣の甘露寺前駅で生まれたといわれる やがて「ミーコ」は貴志駅で4匹の仔猫を出産し
そのうちの1匹が三毛であった 兄弟のうち1匹は死亡 他の2匹は新しい飼い主に貰われていったが
一番性格の「おっとり」したおとなしい三毛の仔猫は「たま」と名付けられ 「ミーコ」と一緒に小山商店で
飼われるようになった 「たま」達は昼間は売店の前で過ごすようになり 近所の人たちや駅の利用客に
かわいがられ いわば駅の「アイドル」的存在となる 平成17年〜平成18年「和歌山電鐵」の設立と経営移管で
駅の敷地は南海の社有地から紀の川市の公有地となり 倉庫は取り壊して駐輪場へ 倉庫と駅舎の間はホームへの
公道として整備されることになった そのため「たま」達の住む小屋は立ち退きを迫られることとなる
困った飼い主の小山商店が和歌山電鐵の開業記念式典を終えた小嶋光信社長に 猫たちの処遇を陳情
相談したところ「たま」の性格に惚れ込んだ小嶋社長の発案により 客を呼び込む「招き猫」になって欲しい
との願いを込め それ以前から駅の利用者に親しまれていた「たま」達を 駅長・助役に任命することになった
これは合理化のために貴志駅を無人駅とし駅長不在となることも背景にある
猫に駅長を嘱託した例は日本の民営鉄道では初めてであった 当駅の乗降客数は「たま駅長」就任まで
1日あたり約700人だったのが 就任直後には約17%増加するなど「たま駅長」効果は具体的数値となって現れ
この年のゴールデンウィーク期間中には「いちご電車」とたま駅長の効果もあり 同社では前年同期比
40%増の収入を記録した 関西大学大学院の宮本勝浩教授は 就任以来の1年間で「たま駅長」による
和歌山県への観光客増加などによる経済波及効果は11億円に達したとする研究結果を発表した その功労により
開業1周年記念式典にて同社から「スーパー駅長賞」が  2007年12月には両備グループにおける
「トップランナー制度」に基づく「トップランナー賞・客招き部門」が贈られる ちなみにトップランナー賞の
ご褒美は猫じゃらしのおもちゃ 年末手当はカニカマのスライスであった 「たま」は就任1周年の2008年1月5日
駅長から「スーパー駅長」(課長職相当)に昇進した 同年4月20日には閉鎖された出札窓口跡を利用して
「駅長室」が設置された この一連の活動に対して和歌山電鐵に 人と動物との共生のための活動を行っている
NPO法人「Knots」から 人と動物との共生に尽力する企業へ贈られる「2006年度りぶ・らぶ・あにまるず賞
グランプリ」が贈られる 同年10月28日に和歌山県の魅力を全国に発信した功績により
和歌山県知事から「和歌山県勲功爵」(貴志と騎士号のシャレ)の称号を贈られた
平成21年(2009)12月22日に和歌山電鐵は たまが執行役員に昇進すると発表
就任以来の3年間における業績が評価されたことから 執行役員への昇進が決まったものであり 同社の
小嶋光信社長が「たま」を執行役員に任命する辞令を交付 同社公式サイト内にある会社概要ページでは
実際に執行役員として役員一覧に名を連ねている
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