2016.01.05−09 青春18切符で九州から大阪へ往復紀行

 フリー切符の歴史は古く 大正初期には鉄道院によって割引遊覧切符が発売され
その後は遊覧券から観光券へと名を変え 戦時下の昭和17年(1947)に廃止されるまで続いた
昭和30年(1955)に周遊割引制度が実施され 戦前の遊覧券に類似した
「普通周遊乗車券の発売が開始され 後のワイド周遊券やミニ周遊券へと繋がっていくことになる
昭和40年代に高速道路が開通し 車の性能もアップして自家用車が各家庭に普及しつつあったが
まだまだ高価なものであった 同時代に始まった国鉄による「ディスカバー・ジャパン」と銘打った
一大キャンペーンが始まり これに触発された多くの若者達にとっては常に鉄道での旅であり
普通夜行列車や寝台急行列車の固い普通座席が旅行手段の大半を占めていたと言える
そのため周遊券はコスパ的に欠かせないものであった 車の普及が格段に進んだ昭和56年(1981)
「フルムーン夫婦グリーンパス」が発売され 鉄道での旅は もはや貧乏旅行の手段では無く
鉄道の旅こそが贅沢という観点からの登場であった 上原謙・高峯三枝子のCMが功を奏し
「フルムーン」ブームが巻き起こり中高年の列車旅への回帰が進んだ
車にシフトし始めた若者に対しては 昭和57年(1982)3月に「青春18のびのびきっぷ」という
フリー切符の発売を国鉄が始め 翌年の春季発売分から現在の「青春18きっぷ」に改称された
昭和58年(1983)からは 温泉ブームで女性グループの旅が増え「ナイスミディパス」も発売された
現在も「周遊きっぷ」は細々と続けられてはいるが
国鉄解体・民営化後は主に「トクトクきっぷ」として 各種のフリーきっぷが発売されているが
相対的に以前の周遊券に比べると有効期間は短くなっている
列車ダイヤも合理化され 長距離普通列車が極端に少なくなり
その上日中数時間も列車が無いという区間も多々ある中で 普通列車しか乗れないという
「青春18きっぷ」の根強い人気は いったいどこから来るのだろうか一度経験してみたいと思っていた
 考えて見ると この「フリーきっぷ」の魅力は面白いルールにある
この種の切符で思い浮かべるのは過去の「周遊券」である 例えば「出発と帰着駅が同一であること」
「国鉄線と連絡する会社線を連続して乗車する(空白区間があってはいけない)」
「必要な乗車券を一括で購入する」などのルールに則れば
有効期間内には必ず戻らなければならないなど制約も多かった
それに対し「青春18きっぷ」は5枚の「一日フリー乗車券」がそれぞれ別々に使えるようになっている
例えば 約一ヶ月間の有効期間内であれば 5日分を連続して使用することも
またルートも連続して使う必要はない  往復に使い現地ではレンタカーという手もある
また切り離しは出来ないが 同一行動をとるなら 最高5人で移動できるというメリットもある
今回 大阪へ行くのに「青春18きっぷ」を使ってみた
価格は 11,850円で これを2人で使用すると 11,850円/4で 大阪まで片道1人 2963.5円となる
但し出発地を九州内ではなく 駅前に1日400円の駐車場(現在無し)がある新下関駅とした
5日間車を停めて2,000円 関門トンネルの通行料を含めても
高速道路を使わず下道で車中泊移動するのと同等であり かつ安全である
下関から大阪の目的地まで約10時間(乗車時間)かかるが 途中下車して空腹を満たす時間はある
<サイト:青春18きっぷ研究所>
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原寸大の「青春18きっぷ」
その日初めて通る有人の改札口で駅員に 無人駅の場合は車掌に ワンマンの場合は運転手から
日付スタンプを押印してもらう 後はその日の午後11時59分まで有効 見せるだけで乗降自由となる
乗車中に翌日を迎えた場合 その時点から次の停車駅までは有効となる
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切符本体とは別に ご案内1〜4までが付いている
これ自体は切符を購入した証拠としては扱われないので注意
内容は下記の通り
○5回(人)まで利用できます。(複数人でも利用できます。なお、複数人数の場合は同一行程となり、
入出場の際には必ず青春18きっぷ本券が必要です)
○快速・普通列車の普通自由席・BRT(バス高速輸送システム)・JR西日本宮島フェリーが利用できます。
○乗車時に改札口で(無人駅から乗車の際は車掌から)、利用日の記入を必ず受けて下さい。
○乗車が翌日にまたがる場合は0時を過ぎて最初に停車する駅まで(東京・大阪付近の電車特定区間内では
最終電車まで)有効です。
○特急(新幹線含む)・急行列車・グリーン車に乗車する場合は特急券・急行券・グリーン券のほか、普通
乗車券が別に必要です。
○快速・普通列車のグリーン車自由席をご利用時にはグリーン券を、普通車指定席をご利用時には座席指定
券を、「ホームライナー」等のライナー列車をご利用時には乗車整理券またはライナー券をお求め下さい。
○奥羽本線新青森〜青森間、津軽海峡線木古内〜蟹田間、石勝線新得〜新夕張間は、特例として当該区間内
相互発着の場合に限り、このきっぷのみで特急・急行列車の普通車自由席に乗車できます。ただし、特例区
間にまたがって乗車する場合は乗車全区間の乗車券及び料金券が必要です。また宮崎空港線の宮崎空港〜宮
崎間はこのきっぷのみで特急列車の普通自由席に乗車できます。
○払い戻しは有効期間内で未使用に限り発売ヶ所で行います(要手数料)
○列車の運行不能・遅延等による払戻し及び有効期間の延長はいたしません。
○災害等の理由により、利用予定の列車に接続しない為、当日の最終目的地に到着しない場合でも新幹線・
特急等への(*本券での)乗車はできません。(一部区間を除く)<*筆者注釈>
○旅客鉄道会社線(JR線)以外の会社線を経由する列車をご利用の場合は別に会社線に有効な乗車券類が必
要です。ただし、青い森鉄道線の青森〜八戸間、あいの風とやま鉄道線の富山〜高岡間、IRいしかわ鉄道線
の津幡〜金沢間は通過利用する場合に限り、快速・普通列車の普通車自由席に乗車できます(乗車整理券・
ライナー券が必要な列車を除く)。当該区間で下車した場合(青森、野辺地、八戸、富山、高岡、津幡、金
沢を除く)、別に運賃が必要となります。
○きっぷを紛失された場合、あらためてきっぷをお買い求めいただきます。なくしたきっぷが発見された場
合でも払戻しいたしません。
○自動改札機は利用できません。
○快速「ムーンライトながら」は「東京〜大垣」全区間、全車指定席です。「青春18きっぷ」で「ムーンラ
イトながら」等をご利用になる場合で乗車中に0時を過ぎてから「青春18きっぷ」を利用するときは、0時を
過ぎて最初に発車する駅までの乗車券が必要です。なお、併用して利用した乗車券は、お乗りにならない区
間の営業キロが100キロを超えない場合、列車の遅延等に関わらず払戻しはいたしません。
●海峡線の運休について(期日:平成28年1月1日)
平成28年1月1日は海峡線(中小国〜木古内間)が終日運休のため利用できません。(代行輸送は行いません)
なお、この運休に伴う払戻しや有効期間の延長はいたしません。
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