2014.09.14  福岡県田川郡香春町大字採銅所 牛斬山(うしきりやま) 標高 579.8m

日田彦山線の採銅所駅を起点・終点に 牛斬山から香春三ノ岳を周遊する
牛斬山は 福智山地の南端に位置する山で 福知山から牛斬峠南にかけて 区市町境に防火帯が続き
比較的緩やかな稜線で 展望の良い縦走路となっている 香春岳は香春三座の総称で
南から一ノ岳・二ノ岳・三ノ岳と続き 海底隆起による全山結晶質石灰岩で構成されている

採銅所駅登山開始 9:50 牛斬山々頂 11:25  香春三ノ岳山頂 13:55 採銅所駅到着 15:50

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1.採銅所駅 2.砂防ダム堰堤 3.牛斬山々頂 4.牛斬峠 5.五徳越峠
6.香春鉱業順回道路出会い 7.香春三ノ岳山頂 8.清祀殿 9.採銅所役場跡 
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標高グラフ
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9:50 採銅所駅駐車場 無断駐車禁止だが・・・
駅前の道標 牛斬山・五徳峠・三ノ岳へ周遊
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駅の観光案内板
採銅所駅 → 牛斬山 → 町境の縦走路 → 牛斬峠 → 五徳峠 → 三ノ岳 → 五徳峠 → 採銅所駅のコース
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駅南の矢山踏切と採銅所トンネル
小倉鉄道(株)による当初の計画では複線であったが 大正4年(1915)4月の開業は単線で行われ
後も複線化されることはなかった トンネルの幅が広いのはこのためである
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牛斬峠・牛斬山
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矢山の集落から見る三ノ岳
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10:10 右から巻いて堰堤上部に出る
テープを頼りに分岐は右へ 左は行き止まり
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沢の右岸へ渡る
沢の左岸へ渡り直す
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頂上まで1000m 山中に入り初めての道標
水量は豊富
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林道との出会い <左>円陣の滝 牛斬山直進
牛斬山分岐 <右>福智山縦走路
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11:25  牛斬山山頂 三等三角点 標高 580.02 m 点名:城之越 背後に「二ノ岳」と「一ノ岳」採掘場
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左奥に特徴的な八面山 右のアンテナ群がある山は飯岳山(大坂山)その奥に見えるのは鶴見岳と由布岳
11:55 間近に見える香春三ノ岳を目指す
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牛斬山分岐に戻り直進
福智山縦走路に合流 <左>五徳峠へ
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縦走路の防火帯を行くが 足下も見えない「薮こき」
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12:30 牛斬峠分岐 五徳峠へ向かう
三ノ岳を正面に見る
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女郎花(オミナエシ) 学名:Patrinia scabiosifolia 合弁花類オミナエシ科オミナエシ属の多年生植物
「おみな」は女性を表す言葉 「えし」は「へし折る」の【へし=圧】が転訛した言葉で
「女性美を圧するほどの美しさ」を意図して名づけられたとされる説があり また別説では
花が粟粒のように黄色く粒々していることから 粟飯を表す女飯(おみなめし)から転訛したとする説もある
秋の七草に数えられ 万葉集にも歌われる 別名に粟花(あわばな) 思い草(おもいぐさ)
万葉集に 手にとれば 袖さへ匂ふ 女郎花 この白露に 散らまく惜しも(作者不詳)などがある
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桔梗(キキョウ) 学名: Platycodon grandiflorus キキョウ科・キキョウ属の多年生植物
和名のキキョウは 漢名の桔梗を音読みしたもの 根が漢方薬に用いられる これも秋の七草に数えられる
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萩(ハギ)
釣鐘人参(ツリガネニンジン)
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根元の石灰岩
現の証拠(ゲンノショウコ)

福岡県田川郡香春町大字採銅所 三ノ岳(さんのたけ)標高 508.6m

香春一ノ岳は 昭和10年(1935)に日本セメントが採掘を開始し 現在は香春鉱業が三ノ岳を除く
一ノ岳・二ノ岳の採掘権を所有しており 山地はその管理下にある 現在 一ノ岳の採掘は 標高270m程度まで
掘り下げられている 未採掘の二ノ岳および採掘権のない三ノ岳ともに登山は可能である

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五徳峠
香春三ノ岳登山口
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<左>岩登り<右>ファミリーコース 無難に右へ
ズリネ間歩に寄る

ズリネ間歩掲示板
香春岳は、「豊前風土記逸文」(713)に銅が採れると記されているように古代より鉱山として全国的に有名でした。
清祀殿(県指定)にて銅を精錬、鋳造し御神鏡を宇佐八幡宮に奉納していたことや、
宇佐と長門国長登銅山との繋がりから奈良の大仏に使われたこと、採銅使が置かれ奈良〜平安時代には、
皇朝十二銭に使われたと言われています。
三ノ岳周辺には、ズリネ、宗丹、床屋、水晶、横鶴などの鉱山が知られているが、
戦国時代から江戸初期にかけての博多の豪商「紙屋宗湛」に由来する宗丹鉱山(間歩)もあり、
江戸期には香春の町中に銅銭の鋳銭場もありました。
昭和30年代まで採掘を行っていたが、今では間歩のみ残っています。
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ズリネ間歩
鉱山会社の巡回道路に出る
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石灰岩の石垣
二ノ岳・三ノ岳分岐
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男郎花(オトコエシ) 学名:Patrinia villosa オミナエシ科 オミナエシ属の多年草
黄色い花の女郎花(おみなえし)と似ているが 花色は白く茎や葉は女郎花より大きい
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着せ綿(キセワタ) 学名:Leonurus macranthus シソ科メハジキ属の多年草
通常は高さ60〜100cmぐらいまで成長する なかなか出会うことのない植物で 環境省レッドリストに記載
和名の着せ綿は 花冠の上部に白い毛が多くあり それを「花に着せる綿」に見立てたことが由来
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13:55 三ノ岳山頂 背景は竜ヶ鼻・石灰石鉱山・平尾台

北九州方向パノラマ 関門海峡 周防灘 国東半島まで
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眼下に採銅所集落 下山開始 14:07
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一ノ岳と二ノ岳
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赤村・香春町・大任町
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林道から三ノ岳
福岡県指定文化財 清祀殿
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清祀殿南の「神間歩」
香春町採銅所は、金、銅、鉛鉱などの採掘や精錬地で、官営の機関、採銅使が置かれたところである。
奈良時代、清祀殿と「神間歩(俗に蟹間歩=がにまぶ)」は、銅を精錬し宇佐八幡宮へ御神鏡鋳造、
奉納した所縁の地であると、「古宮八幡宮ご鎮座電気・永光家文書」などに記されている。
それらによると、清祀殿での御神鏡鋳造に先だち、香春岳を御神体とした「お山開き」の祭事が行われ、
古宮八幡宮神官が、山の神に、御神酒を供え、幣帛(へいばく)・祝詞を捧げ、次に魔覆(まぶ)の口に
注連を曳き、御幣八本を立て、散米・榊木を供え、禊を修めて、それから金銅を掘っていたということである。
「神間歩」は、その深さ、鉱壁、位置、掘り出された抗口、石塊、付近の構造等合わせて考える時、
神事を行った場所と推察される。奥壁には、祭壇らしきものがあり、
千二百数十年を経た今日でも「神」をとって「神間歩(府)」と呼称されている。
なお、神間歩の上部にも、銅を掘った間歩(抗口)が数ヶ所ある。さらに三の岳周辺には、
古宮・横鶴・水晶・床屋・宗丹・ズリネなど金・銅鉱山(間歩)跡が多く散在している。
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採銅所役場跡と道標「北是呼野道」
15:50 採銅所駅到着
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三ノ岳の石灰石 白色度の高いものは「寒水石」と言われ 製紙原料として珍重される
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