2011.11.21  宮崎県五ヶ瀬町大字鞍岡−椎葉村大字下福良 霧立越縦走(きりたちごえ)

霧立越(きりたちごえ=きったちごえ)について
熊本・宮崎県境にそびえる九州中央山地の山々を「九州脊梁山地」と呼び その骨格となる山帯が二条南北に連なる
西の連山を「向霧立越」と言い 北から矢筈岳(1113m)遠見山(1268m)三方山(1577.5m)高岳(1563.2m)
国見岳(1738.8m)小国見岳(1708m)五勇山(1662m)烏帽子岳(1691.7m)椎葉越峠 白鳥山(1638.8m)
銚子笠(1488.9m)と続き不土野峠に至る また東側の連山を霧立越と言い 蘇陽町・馬見原から黒峰(1283m)
小川岳(1542.1m)向坂山(1684.4m)白岩山(1646.4m)扇山(1661.3m)を経て椎葉村の滝と横野に
それぞれ続く 東側の霧立越は古道であり 寿永4年(1185)壇ノ浦の合戦に敗れた平家一門が霧立越を通じて
椎葉に逃れ 平家追討に赴いた那須大八郎宗久もこの道をたどり椎葉に入ったと考えられている

後の西南の役では明治10年(1877)4月24日敗走する薩軍本隊が霧立越を越えて椎葉へ入り
4月27日人吉江代村に到着した 途中の五ヶ瀬町鞍岡の地名は 鞍岡に馬の鞍を置いていったことから
鞍置村が訛ったものといわれ 霧立越が馬に乗って越せないほどの難所であったことが伺われる

昭和8年(1933)富高町(現・日向市)と椎葉を結ぶ道路(現・国道327号)が開通するまで
椎葉と外界を結ぶ唯一の道であり 古来より大分県豊後から人吉への重要な交易ルートの一部でもあった
霧立越は「駄賃付け道」と言われ 馬による荷駄で椎葉から椎茸やムキタケなどの天然のキノコ類・木炭・毛皮
川のり・のり樽などの山産物を搬出 江戸の一時期は木地屋ろくろ製品(椀もの)なども運び出されていた
一方の馬見原からは 味噌醤油類・酒類・米・衣類などの日用品を運び込んでいた
前記の道路開通後「駄賃付け」はしだいに途絶え 昭和12年(1937)頃から廃道となってしまった

現在の霧立越は 平成7年(1995)「霧立越の歴史と自然を考える会」によって
向坂山から扇山にかけての尾根伝い約12kmを 新にトレッキングコースとして伐開整備されたものである
よって現在のトレッキングコースは 荷駄が通ったルートを全て踏襲する路ではないとされる

霧立越に代わる南北山越の道路は 昭和26年(1951)に漸く椎葉側が林道十根川線として
同じく五ヶ瀬側が林道本屋敷線として起工され 昭和34年(1959)に完成し国見峠を経てつながった
この国見峠は 古来より久留美(クルミ)峠と呼ばれていた 小国見岳は現在でも「コグルミ岳」と呼ばれており
国見岳も「クルミ岳」が本来の名称であったと思われるが
明治期の地図作製の際に「国見」の文字を当てたものであろうと想像する

昭和49年(1974)に 指宿から高森までサイクリングをした時 椎葉から高千穂へ峠を越えた
当時岩石の露出したダート路は 二・四輪自動車メーカーの数少ないダート・テストコースとして利用された
昭和63年(1988)には全面舗装され国道へ昇格となったが 九州の「酷道」として全国に名を馳せた
平成8年(1996)国見トンネルを含むバイパスが完成し 峠越えに1時間30分の時間短縮を果たした


やまめの里・えのはの家に前日泊  宿では白岩山登山口と松木登山口への送迎サービスがある
出発8:00<送迎車>白岩山登山口8:25−白岩峠−向坂山−白岩峠−白岩山−水呑の頭−馬つなぎ場−平家ブナ−
扇山山小屋−扇山13:40−扇山山小屋−松木登山口14:45<送迎車>到着16:10
向坂山で今冬最初の霧氷に会う
歩行距離 14.2km 休憩含む歩行時間 6時間20分
国土地理院によれば コース中・白岩山とされている白岩石灰岩峰は単なるピークであり 水呑の頭とされるのが
白岩山である 以前の登山ガイドブックも 水呑の頭を白岩山としている

A.五ヶ瀬ハイランドスキー場 1.白岩山登山口 2.白岩峠 3.向坂山 4.白岩石灰岩峰
5.白岩山頂上・水呑の頭 6.馬つなぎ場 7.扇山山小屋 8.扇山 9.松木扇山登山口
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標高グラフ
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8:00 やまめの里・えのはの家 ログハウスのホテル フォレストピアを併設
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8:25 白岩山登山口 送迎はホテル フォレストピアのマイクロバス
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登山道の霜柱
白岩峠を目指す 8:50に峠着
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霧氷が綺麗なので 向坂(むこうざか)山まで行く
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9:10 登り1kmで向坂山(1684.4m)
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霧氷の下 白岩峠まで戻る
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白岩峠まで急坂下り
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向坂山を振り返り
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峠近くから霧氷の向坂山  峠着 9:25
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9:50 白岩石灰岩峰(1620m)
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10:10 三角点のある水呑の頭(白岩山頂) 縦走路から5分 三等三角点 標高 1646.73m 点名:白水口
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白岩山・水呑の頭から南の展望 樹間から霧島連山遠望
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霧立越の広い尾根道
11:10 馬つなぎ場
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馬つなぎ場は広く 霧立越の休憩・宿営場所 昔は小屋があったかも知れない
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馬つなぎ場のナラ(櫟)林
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広い台地の馬つなぎ場
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霧立越・尾根道
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ブナの木が並ぶ霧立越 夏は日陰になる
12:15 根元を残す平家ブナ
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ブナの大木
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陽光を浴びて快適な霧立越
道をふさぐ ブナの大倒木
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12:35 扇山山小屋 昼食 扇山へは右に登る
13:40 扇山々頂 小屋から770mの至近距離
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扇山々頂 二等三角点 標高 1661.73m 点名:切立峠
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山頂一帯は石楠花の群落 いつかシャクナゲのシーズンにと思う 山頂から迎え要請の電話
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14:00 扇山山小屋を出発 霧立越の横野道を下る
14:45 松木登山口 林道から見る紅葉
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16:10 やまめの里着 すでに夕刻の雰囲気が漂う

やまめの里は「えのはの家」と「ホテル・フォレストピア」がある
晩秋から冬季にかけては施設の老巧化もあり室内においても寒さ対策が必要となる
食事は「えのはの家」で夕食と朝食にヤマメ料理が出る ボリューム満点だが川魚が苦手な人は困るだろう
夕食を全て食べ尽くすとおおよそヤマメ料理には飽きてくる 朝食にヤマメの干物が出てほぼ食傷気味となり
宿で調達する弁当も「ヤマメの押し寿司と添え物までヤマメづくし」でうんざりする
通常は扇山山小屋で昼頃となるので ツアー外の単独行動の場合はインスタント食品を持参し
山小屋で湯を沸かして昼食にすることを薦める
ただしガイド依頼した場合やトレッキングツアーに参加した場合はこの弁当がついてくる
なお「やまめの里」には全コース地図がないので準備しておいた方が良い
下山時刻の注意として 松木登山口より「やまめの里」まで送迎バスで1時間以上かかる事を忘れてはならない
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