2019.01.18 香川県高松市栗林町 栗林公園

400年近い歴史を有す江戸初期の回遊式大名庭園で 標高166mの稲荷山と199mの室山の二つの頂きを持つ
紫雲山の東麓にあり 尚且つ 紫雲山を背景に六つの池と十三の築山を巧みに配し すぐれた地割と石組を有した
雅趣豊かな庭園である 2009年には「ミシュランガイド3つ星」に選定され 今も外国人観光客が増加中で
国の特別名勝に指定されている文化財庭園の中では 面積約75haの広さは国内最大である
約千本の見事な手入れ松に加え カエデ・ツツジ・ウメ・サクラ・ハス・ショウブ・ハギなどが紡ぐ
四季折々の景観は一歩一景と称されている

江戸初期の香東川は 川部町辺りで別れ紫雲山の東西を流れていたが 治水工事で東側の流れを堰き止めたあと
川床跡地に豊富な伏流水による湧水が現れたため 栗林に住む生駒氏の家臣佐藤道益が屋敷庭の造園を始めた
生駒氏が改易により出羽矢島藩に移封され 寛永19年(1642)松平頼重が初代高松藩主として高松城に入った
延宝元年(1673)頼重が隠居となり かねて検分していた栗林に御殿を建てて移住し栗林荘とした
二代目藩主頼常の頃 南庭・北庭を備えた庭園となり 五代目藩主頼恭が延享2年(1745)に名所60景を撰名し
約100年かけて現在の姿に完成させたとされる その後も高松藩松平家の国元下屋敷として幕末まで営まれた

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明治4年(1871)廃藩置県により敷地の全てが国に接収され その後県に払い下げられた
明治8年(1875)栗林公園として開園し一般公開され 南庭は江戸時代初期の大名庭園の姿をそのまま残したが
かつて檜御殿が建つ鴨場であった北庭は御殿が取り壊され 県によって明治32年(1899)博物館が建設された
大正2年(1913)に近代庭園として改修され 運動場や遊戯場及び複数の観覧施設をも新設し
博物館の周囲も近代庭園に整備されてしまった 昭和5年(1930)には動物園が開園 後にプールを併設
昭和24年(1949)高松美術館 昭和40年(1965)讃岐民芸館が開館したが 運動場と遊戯場は撤去整備された
昭和63年(1988)美術館が閉館され後に撤去 平成5年(1993)美術館跡地に鴨場施設を復元改修
平成14年(2002)動物園が閉園となり 平成16年に同施設を撤去し跡地を東門駐車場とした


道の駅・香南楽湯を午前7時過ぎに出発 国道経由で栗林公園まで12.5kmあり約30分弱で到着する
早朝なので野鳥撮影目的に訪れる人が多いが 観光に訪れる人は少なく外国人観光客も散見する程度
静かな公園内で幸運にも「カワセミ」を見ることが出来たが 少し暗くて望遠写真はブレブレ

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7:40 栗林公園東門 かつては藩士の通用門であった切手御門
栗林公園の開園時間は 基本的に夜明けから日没までで開門時間は
12月から2月は午前7時 3月と11月は午前6時30分 10月は午前6時 4月から9月は午前5時30分である
年中無休の上 元日と3月16日の開園記念日は無料開放される 入園料は大人で410円
県営東門駐車場の料金は小型車(普・軽)100円/25分で 園内散策は2時間程度は必要である
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明治32年(1899)建設の香川県博物館(商工奨励館)とヒマラヤスギ
園内最大の樹木 樹齢は110年以上 樹高約20m 幹周り5.2m
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鶴亀松
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明治32年(1899)香川県博物館として竣工した 商工奨励館
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7:53 漸く池面に陽が射す
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北湖
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箱松と南梅林
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南梅林
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北湖
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茅葺きの休憩所
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日暮亭(ひぐらしてい) 明治31年(1898)石州流の茶室として再建
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赤壁
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旧日暮亭 元禄13年(1700)前後に考槃亭(こうはんてい)として建てられた草庵風の茶室
その後 西湖畔の会僊厳(かいせんがん)に移築され「日暮亭」と改名
明治4年(1871)に売却されて園外を転々とし 昭和20年(1945)に再び栗林公園内に戻された
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桶樋滝(おけどいたき)
西湖の石壁を流れるこの滝は 藩主の観賞用として築かれ 紫雲山の中腹に置かれた桶まで
人力で水を汲み上げたことからこの名が付けられた 現在は電動ポンプを使用
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涵翠池(かんすいち)
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南西のこの辺りは最も古く 来歴は室町期まで遡るとされている
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掬月亭(きくげつてい)
四方正面の数寄屋造りで南庭の要となる建物 唐詩『春山夜月』の一節「掬水月在手 弄花香滿衣」から命名
和訳は「水を掬すれば 月 手に在り 花を弄すれば 香 衣に満つ」で
無我の境地で自然と接すれば 手に水を掬えば月は手の中に 野の花と戯れれば全身が香りに包まれる
身近なものを楽しみ 美しさを感じとることができれば心が豊かになる 禅語としてよく法話に出る話
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南湖
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南湖と紫雲山
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湧水地の吹上から流れ出る清水
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吹上は栗林公園の水源で 古くは河床であり伏流水は涸れることがない
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偃月橋(えんげつきょう)
偃月とは弓張月のことで 半月前の細い月をさす 故に「反り橋が偃月のようである」という意味
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偃月橋から東に見る「飛来峰」
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偃月橋から見る南湖 手前の島は「杜鵑嶼(とけんしょ)」ハート型に刈り込まれた「恋つつじ」がある
奥に掬月亭と小松亭
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飛来峰からみる栗林公園で一番の眺め
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掬月亭
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古理兵衛九重塔
初代藩主・松平頼重が「お庭焼」として正保4年(1647)に京都から招いた紀太理兵衛重利が焼いた九重塔
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根上り五葉松
天保4年(1833)に9代藩主松平頼恕(よりひろ)が参勤交代で江戸出府のおり
11代将軍徳川家斉より拝領した盆栽植えの五葉松を地に下ろし植え直したものと伝わる
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掬月亭
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涵翠池(かんすいち)
翠(みどり)を涵(ひた)すという意味で 石組みの素晴らしい中島の瑶島(ようとう)の木々だけでなく
背景の紫雲山の木々を含めた意味で名付けられた
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芙蓉峰からみる北湖と紫雲山
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鶴亀松まで戻ってきた 9:15 これから北庭を巡る
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群鴨池(ぐんおうち)
群鴨池は、園内最大の池で江戸時代には、鴨猟に用いられた。明治末期の大改修の際に群鴨池内に
春島、夏島、秋島、冬島が造られ、そして毘沙門天祠のある多門島と合わせ5つの島がある
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北梅林
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毘沙門天祠のある多門島
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花しょうぶ園と北梅林

午前9時40分 栗林公園をあとに次の目的地 沙弥ナカンダ浜へ 距離27.3km・約1時間

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