2011.03.04  雪

「ひな祭り」の翌日だというのに雪が降り出した
南国とはいえ 九州北部は山陰気候地帯にあるため 珍しいことではない
50年ほど前に大阪にいた頃も 雪は3月に度々降った 気象学では西日本の雪は春に多いとされる

今日は旧暦にすれば1月30日 明治以前の桃の節句は 今の暦では一ヶ月後の4月5日となるため
桃の花が咲く頃となる さすがに今朝降る雪は「春雪」なので 湿気の多い「ぼたん雪」である

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太宰治が著作『津軽』の冒頭で
津軽の雪 こな雪 つぶ雪 わた雪 みづ雪 かた雪 ざらめ雪 こほり雪
と七つの雪を書き 作詞家久仁京介が津軽恋歌に挿入し新沼謙治がこれを歌った

これらは乾燥の度合いによって分けられた名称で 他にも細雪 淡雪 べた雪 ぼたん雪などがある
いずれにせよ雪の源は 上昇気流によって上空に運ばれた水蒸気が 微粒子を核にして凝結し水滴となり
それが昇華して氷の結晶となり 太陽光を反射して白く輝く雲の正体の源となる

この氷晶が 雨・雪・霰や雹のいずれになるかは 上空から地表面に至る大気の気温によって分類される

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2010年大晦日の朝 もはや九州とは思えない光景である

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2011.01.02
年末から降り続いた雪が 正月三ヶ日の間溶けることがなかった

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大和言葉の「ユキ」は 神聖であること・斎(い)み浄めることをあらわす「斎(ゆ)」と
潔斎して神に仕えることを意味する同じ漢字の「斎(いつき)」を合わせた言葉とされている

漢字の「雪」は 雨と彗を合わせた文字で 古代の漢字では
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と 雨の下に彗を書いた 彗(訓読み=ホウキ)は
刈り取った草の穂や竹の細い枝先をまとめて作る「ホウキ」のことで 天から降り掃き清める意味がある

雪が降り一面白銀の世界になると あらゆるものが隠され清浄な白一色の世界になることが
人の気持ちをそうさせてきたのであろうと思われる

英語の<snow>の語源は ヨーロッパ・ゲルマン人の祖語である<snaiwaz>が語源とされ
古期英語のスコットランド語で<snaw>と表され 英国で<snow>に転訛した
東洋と違い 雪が覆い隠すことから「だます」「いっぱい食わせる」「まるめ込む」などの意味もあり
snow job>は「(言葉巧みに)人をだます」「口車にのせる」というふうに使われる

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