2015.03.13  ヤブツバキ(藪椿)

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福岡県宗像市 地島の藪椿 2015.03.31撮影

学名: Camellia japonica. ツバキ科ツバキ属の常緑樹 照葉樹林の代表的な樹木
学名に「ジャポニカ」とあり 日本固有のツバキである
古来から日本人に愛され 京都の龍安寺には室町時代のツバキが残っている
常緑性の高木で通常は高さ5〜6m程度であるが 成長が遅く寿命も長いため樹齢数百年を経た大木も多く
離島などの自生の原生林などでは 未確認のものもあり最大規模は不明である
花は完全には平開せず カップ状の花を咲かせ 萼と雌しべを木に残して丸ごと落ちる
それが首が落ちる様を連想させて忌み嫌われ 病気見舞いに持っていくことはタブーとされている
また同じことから 武士階級では嫌われたと伝わるが 江戸時代には神社仏閣はもとより
武家屋敷にも多く植栽され 各藩こぞって品種改良に励んだ
植物学的に「ツバキ」とは「ヤブツバキ」を指すが 国内外で近縁のユキツバキから作り出された
数々の園芸品種やワビスケ及び中国・ベトナム産の原種や園芸品種などを総称的に「椿」と呼ぶ
しかし 同じツバキ属であってもサザンカを椿と呼ぶことはあまりない
温暖な気候を好み 日本では本州・四国・九州・南西諸島 国外では朝鮮半島南部と台湾に見られる
本州中北部にはごく近縁のユキツバキがある ヤブツバキは海岸沿いに青森県まで分布し
ユキツバキはより内陸部の 標高の高い位置にあって住み分けている
ヤブツバキは他家受粉で結実し またユキツバキなどと容易に交配するために
花色・花形に変異が生じやすく 古くから選抜による品種改良が行われてきた
江戸時代には 江戸の将軍家や肥後・加賀などの諸大名 京都の公家などが園芸を好んだことから
庶民の間でも大いに流行し たくさんの品種が作られた 茶道でも「詫び助」などが珍重され
冬場の炉の季節は茶席が椿一色となることから「茶花の女王」の異名を持つ
 西洋に伝来すると 冬にでも常緑で日陰でも花を咲かせる性質が好まれ
大変な人気となり 西洋の美意識に基づいた豪華な花をつける品種が作られた

花言葉は 控えめな優しさ

<大分県立農業文化公園の椿>

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福岡県宗像市 地島の藪椿 2015.03.31撮影 自然交配による変種

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千重咲きのツバキ 乙女椿(若しくは十八学士) 2015.04.02 別府鉄輪にて撮影

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