2007.11.19  霜

霜は 物体の表面温度が氷点(0度=霜点)以下になったとき 物体と接触する空気中の水蒸気が
昇華して物体の表面に微細な結晶の氷が成長する この結晶や現象自体を霜と言う
実際には 気温が5度くらいになると地表面は0度程度になり 霜が発生する目安とされている

英語では<frost>と呼ばれ 語源は「凍る意味」で 近い言葉では氷結や凍結を表す<freeze>がある

大和言葉「シモ」の語源は 下(しも)にあるからという説 寒さで草木がしぼむ(萎む)からの転訛
凍み(しみ)が転訛したという他 「し」が色の白を表し「も」が「寒い」または「毛」を表すなど
様々な説があるが 確証のとれる語源は未だ解明されてはいない

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2007.11.19 釈迦岳・御前岳縦走路(標高1150m)で撮影

日本では「霜が降る」「霜が降りる」などと表現され 天から地上に下りてくるものと考えられていた
冬の季語のひとつで 京や奈良などの内陸部に発生することが多く 古都の風物詩でもあったことから
万葉集や枕草子にも取り上げられ 特に万葉集には 霜を詠んだ歌が長歌も含め多くの歌が掲げられている

居明かして 君をば待たむ ぬばたまの 我が黒髪に 霜は降るとも ……万葉集 磐姫皇后
かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける ……万葉集 大伴家持

冬はつとめて。 雪の降りたるはいふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、
火など急ぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。 昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、
火桶の火も白き灰がちになりてわろし。 ……枕草子 清少納言

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砂糖をまぶしたような菓子のようにも見える

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二十四節気では10月23日頃(太陽黄経が210度)が「霜降(そうこう)」とされ
霜が降り始める頃とされることから その名の由来となっている
また 旧暦11月を霜月と呼び これも俳句の季語となっている

葛の葉の おもてなりけり 今朝の霜 ……雑談集 松尾芭蕉
かりて寝む 案山子の袖や 夜半の霜 ……其木がらし 松尾芭蕉

冷え込みが強い内陸部の日田では 盆地の底に人が生活し排出する暖気が溜まり 案外と霜の降らない日が多い
盆地を取り囲む標高200mを超える中山間地では 風のない晴天日は放射冷却が強く
冬期は必ずと言っていいほど霜の日が多い 場合によっては5月に遅霜が降ることがある

また 海が近く空気が比較的流されやすい沿岸部などでは 海流の影響もあって霜が降りることが少なく
これを嫌う「温州みかん」などは このような地域で栽培されることが多い

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霜柱
同様に地表面が0度以下のとき地中の水分が地表面から凍り初め 地表から柱の様な形に盛り上がる
霜と名は付くが まったく別の現象で 霜よりもなお低温の状態で出来ることから
「霜柱が立つ程」と言えば より冷え込みの強い寒い状態を指す

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