2012.02.02  オリオン座

オリオン座は 古代ローマ帝国の学者クラウディオス・プトレマイオスが定めた「トレミーの48星座」のひとつで
ギリシア神話に登場する巨人の狩人*オーリーオーンをモチーフとした星座である
*一般に日本ではオリオン 又は英語読みに近いオライオンと表記することが多い 以下オリオンと記載する)
オリオンは 海神ポセイドンとクレタ島の王ミノスの娘エウリュアレーとのあいだに生まれた
美貌かつ巨漢の男子であった 神話では死後 全知全能の神ゼウスによって天に昇りオリオン座となった

日本では 和楽器の鼓に見立てて「鼓星」とい呼ばれていた地域が存在する また オリオン座の三ッ星は
古くから多くの名称で呼ばれた 単に数で表す三連星(みつらぼし)や三星(さんぼし)などの他
唐鋤星(からすきぼし) 稲架の間(はざのま) 金付星(かなつきぼし) 算木星(さんぎぼし)など
生活に使う道具から連想した呼称も多く残されている その他 戦の勝運を呼ぶ星として 武家紋に取り入れられ
毛利氏の一文字三星紋や渡辺氏の渡辺星紋などが有名である

別に 三連星を宗像三女神や住吉三神に例え 航海の神として崇めたという説が散見されるが
オリオン座を水平線以上で確認出来る期間が 8月から翌年の4月ぐらいまでとなる 古代 日本海での渡航は
時化の少ない夏期に限られるため オリオン座の三連星が航海の目印に使われたという説は少し怪しい

img

2012.02.02 20:46 欅の梢上部にオリオン座を見る

img

オリオン座は22の星で構成され 一等星が2つ二等星も5つあり 明るく目立つ認識度抜群の星座である
2等星の Alnitak(アルニタク)Alnilam(アルニラム)Mintaka(ミンタカ)が並んだ三連星を
左上の赤い一等星の Betelgeus(ベテルギウス) 右下に青白い一等星の Rigel(リゲル)
左下と右上に 二等星の Saiph(サイフ)と Bellatrix(ベラトリクス)が四角に囲む鼓形が一目で分かる

中でもひときわ目立つ赤い一等星のベテルギウスは 直径が太陽の一千倍もある巨大な恒星である
しかし 寿命を終えようとする赤色超巨星という状態で 地球からの距離が640光年であることを考慮すると
すでに超新星爆発を起こしていることも考えられ 今にも爆発の様子が見られる可能性があると言われている
理論上は 宇宙空間では比較的近い位置にあるため 爆発すると満月の百倍の輝きを発し
この状態が3ヶ月ほど続き その後は次第に暗くなって 4年後には見えなくなりオリオンは右肩を失うとされる

三連星の下にオリオン大星雲(M42)があり 条件がよければ肉眼でも確認できる
現在でも活発に星が生まれている領域で 1500光年の距離にあり その広がりは25光年におよぶ

オリオン座の上にある赤線は 太陽の軌道を表す黄道で夏至前後に太陽が近接する
夏季は 日中にオリオン座が出ているため見ることが出来なくなる 8月初旬には夜明け前の水平線上に見え始め
日没直後に水平線上に見ることが出来る5月下旬までが 冬の星座・オリオン座を見ることが出来る期間となる

 TOP
<月星天・INDEXに戻る>