2011.04.19  虹

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「虹」という字について

漢音「コウ」 呉音「グ」「グウ」 蛇または龍が空を突き抜ける様を表す 上代の文字では

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と表現されている 工は二つのものを貫く(繋げる)の意味があり 虫は形状から「へび」を表している
昆虫の「虫」は 本来は「蟲」という字で表現し 小さな物がうじゃうじゃ居る様を表している
虫は「蛇」であり「龍」でもある
虹という自然現象を 上代の中国人は龍が作り出すものと考えたのである


大和ことばの「ニジ」は上代では「ヌジ」 上代の東国では「ノジ」と言われた また「蛇」のことを
「ヘミ(ビ)」・「ノジ」・「ヌジ」と言い表し 古くは蛇類の総称を「ナギ」と言った
これは「ナガキ」ものという言葉から派生した言葉であろうと言われている

「ナガキ(長キ)」が「ナギ」となり ウナギやアナゴなど「長き」ものを称する言葉にも表れている

流れ(ナガレ)・流れる(ナガレル)・眺む(ナガム)・眺め(ナガメ)などの語源も同じである
その後発音が「ナギ」→「ヌジ」・「ノジ」→「ニジ」へと変わって 虹=ニジとなったと思われる

関係は別として 古代インドでも蛇神(男)を「ナーガ」と言い 蛇神(女)を「ナーギィ」と言った
このことから「ナガ」という言葉自体 古き外来語として捉えることも可能ではないかと思う
「ナガ」は古代信仰の蛇神に結びつき 日本神話の「イザナギ」・「イザナミ」をはじめ
多くの天皇や神の名ににも「ナガ」がつく

現代人にとっては その虹がいくら美しいものであっても 天空に描かれた七色の帯が
空中の水分粒子による太陽光スペクトルによるものであることは周知のことである

しかし古代においては 虹は「長きもの」であり「蛇に似たもの」であった
これはシベリアから中国に至る東アジアのみならず 琉球から南へ遠くオセアニア大陸の
先住民「アボリジニ」の古代神話にも登場する普遍的な話である

古代「虹」という漢字を移入したとき 我々の祖先は大和言葉の長キモノを表す
「ナギ → ヌジ → ニジ」をあてはめたのである

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2012年7月14日 撮影

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