2009.03.26  菜の花

アブラナ科植物の花は ハリゲ菜種・アブラ菜・セイヨウアブラ菜・カブ・ノザワ菜・コマツ菜
チンゲン菜・ミズ菜・白菜・キャベツ・コールラビ・ミブ菜(京菜)・カラシ菜
ブロッコリー・カリフラワー・葉牡丹・クレソン・大根・ター菜・ナズナなどの春に咲く花である

アブラナ科の基本数は4であり 花弁数は4である 4枚の花弁が十字架のように見えることから
昔は十字花科(CRUCIFERAE:属の学名は十字<クルス>の意味)とも呼ばれていた
花の姿からキリスト教の十字架を連想させ キリスト教圏では意味のある仲間である

北半球に多く 特に地中海沿岸地帯から西アジアにかけて 多くの種が分布している
多くの種が秋に芽生え 冬はロゼットで過ごし春に開花する このようなライフサイクルは
地中海地方の 夏期の乾燥と冬季の温暖多雨という気候条件に適応したものである
冬期ロゼット状の葉が食用として優れており 上記のように農作物として品種改良されたものも多い
ワサビもこの仲間であり 肉料理に添えられるクレソン(オランダガラシ)もアブラナ科である
このように見ると 京野菜を含め現在野菜として食べているものの ほとんどと言っていい物が
地中海域からの 渡来作物であることになる

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一般的にアブラナ科アブラナ属の花はどれも黄色であることから すべて「菜の花」と呼ばれる
中でも 地中海沿岸から伝播する間に 交雑により生じたと考えられる
西アジアから北ヨーロッパ原産のアブラナと 中央アジア原産と云われるカラシナが弥生時代に伝来し
ともに野菜として栽培され 後に変種として高菜や搾菜が生まれた

アブラナは 江戸時代になってから植物油の採油目的として栽培され その油は菜種油と呼ばれ
主に灯明用に用いられ 生活に欠かせない物となっていた
そのため 以降 日本では「菜種」という呼び名が作物名として定着していった
一般にアブラナ属植物の種子からは油と芥子が採取できる

アブラナ科植物は交雑して雑種が生まれ易く 結果的に形態的変異に富み学術的に分類困難な品種も多い
普通 川沿いの土手などに生えている菜の花は 多種類が混在しており カラシナ・アブラナの他
カラシナの原種が明治以降帰化植物となり 野生化したセイヨウカラシナが多く見られる
セイヨウカラシナの花は栽培種の物より小さい

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大分県豊後高田市 国東半島長崎鼻の菜の花畑 採油用のセイヨウアブラナが約2000万本

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セイヨウアブラナ 学名:Brassica napus.英名:rapeseed.アブラナ科アブラナ属の二年生植物
日本在来種のアブラナ(学名:B. rapa var. nippo-oleifera)とは別種である
原産地は 北ヨーロッパからシベリアにかけての海岸地帯で 日本には明治時代初期に導入された
国内向けに 数種類の品種が開発されているが 国内生産の菜種は原料総数量の0.04%でしかない
戦前の菜種の自給率が ほぼ100%であったことから比べると激減している
輸入の安価なキャノーラ油に押され 純菜種油を料理に使うことも少なくなったが
純菜種油で調理した揚げ物は 香りよく美味いと私は思う

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筑後川の白い菜の花

一般的に菜の花は 黄色い花弁を付けるが 大根やナズナは白い花弁を付ける
野生種のハマダイコンは 浜辺の砂地を好むが 筑後川の白い菜の花はそれに似ている
アブラナ科の野生種は繁殖力が強く 近年 筑後川の菜の花は 白い花が多くなったように思われる

花言葉は「快活な愛」「競争」「小さな幸せ」

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