2014.10.06  霧立ちぬ朝

九州の南岸をかすめるように台風が通り過ぎ 冷え込みの厳しい朝を迎え 谷間から朝霧が立ち上る
霧も雲も大気中の水蒸気が飽和状態になり 肉眼で白く見えるものを指すのだが
その違いは台地に接するか否かの違いである 台地に接しているものを「霧」と呼ぶ

山に雲がかかるとき 地上からは「雲」だが 山にいる者からすれば「霧」であるため
山岳用語でこれを特に「ガス」と呼び 「ガスっている」などと動詞にもなったりする

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霧<Fog>のうち 水面や地面から立ち上る霧を 蒸気霧<Steam fog>と言う
水面や地面に接する大気が 何らかの因子によって相対的に温度が低くなった場合
水面や地面から蒸発する水分が霧となる 冬に吐く息が白く見えるのと同じである

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季語としての「霧」は秋を指すが 実際に霧が発生するのは中秋以降となることが多い
「霧立つ」言葉そのもので唱われた俳句・短歌は案外少なく
一茶の句に 「蜜さす 手からも霧は 立ちにけり」 とあり
紀貫之・後撰集には 「秋霧の 立ちし隠せば 紅葉ばは おぼつかなくも 散りぬべらなり」とある
その他 映画や歌曲のタイトルに多く見られる程 「霧」は人の情緒をくすぐり・かき立てる

しかしながら 霧の多く発生する所には結核患者が多いという意見もある そして現在
季節外れの黄砂やPM2.5などという厄介者が 霧に紛れて浮遊している

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