橋の概念とは

よく土木関係の記事で橋の概念を突き崩した「橋」とか従来の橋の概念にとらわれない設計などと 橋の概念と言う
言葉が頻繁に登場するが 橋の概念なる言葉を具体的にかつ学術的に述べられた記事はあまり見あたらない
石橋を訪ね巡礼を重ねる毎に橋とはどれとどれを指し 橋のようでも橋ではない物はどれだとはっきりしない事がある
ある町の資料では橋となり 違う町では橋にもならない物がある

辞書・漢字源を要約すれば
【橋】 《 常用音訓 》 キョウ/はし
《 意味 》 {名詞} はし。 / ̄\ 型に曲線をなして高くかかったはし。のちひろく、はしのこと。
〈類義語〉 梁リョウ。「橋梁-キョウリョウ」「架橋-(はしをかける)」
{名詞} つるべの横木など、はしの形に似たもの。
{形容詞} 曲がって高くあがるさま。高くそびえるさま。▽「喬」に当てた用法。
「橋起」「山有橋松=山ニハ橋キ松有リ」〔詩経〕
{名詞} はしのような形にかつぎあげるこし。▽轎キョウに当てた用法。
《解字》 会意兼形声。喬は、高(たかい家の形)の屋根の先端が曲がったさまを描いた象形文字で、
高くて曲線をなしてしなう意を含む。
橋は「木+音符喬」で、/ ̄\ 型に高く曲がったはし。
《 単語家族 》 僑-キョウ(背の高い人) 嬌-キョウ(すらりとしてしなやか)と同系。
《 類義 》 梁リョウは、両と同系で、両がわをつなぐはし。

【梁】 《 音読み 》 リョウ(リャウ)/ロウ(ラウ) 《 訓読み 》 はし/はり/うつばり/やな
《意味》 {名詞}はし。左右の両岸に支柱をたて、その上にかけた木のはし「橋梁-キョウリョウ」
{名詞}はり。うつばり。二本の支柱で屋根をささえる材。「棟梁-トウリョウ」
{名詞}やな。川の瀬の両岸からくいをうち、水を中央の一か所に集めて、すのこをしいて魚をとる装置。
{名詞}物の中央の突起している部分。▽橋や、はりのように高くかかっていることから。「鼻梁-ビリョウ」
《解字》 会意。もと「水+両がわに刃のついた刀のかたち」からなる会意文字。のちさらに木を加えた。
左右の両岸に支柱を立て、その上にかけた木のはしである。両岸にわたるからリョウ(リャウ)といい、両と同系。
《類義》 橋は、曲線をなす太鼓橋。
以上が漢字における「橋・梁」の意であるが 日本語(大和言葉)の「は」-「し」の意味は?

漢字は渡来文字であることは常識として定着しているにもかかわらず それ以前の言葉や文字に関しては
百家争鳴のごとく定説というものが無い 8世紀初頭に献上された「古事記」や「日本書紀」は 渡来文字である
漢字を官用の正式文字として初めて使用された文献として考えられてはいるが 仏教経典の輸入や交易により
以前から漢字が流入していたことは充分にうかがえる事である しかしこれとは別に大和言葉を表す文字が
漢字以前には皆無であったと言う証拠もない 大和言葉を表す文字は統一された文字ではなく 地方地方での
違いもあった可能性が高い よって官用文字の統一を行う必要性があったことと 「記紀」編纂前の不都合な
歴史を抹殺する意味に於いても急速的に漢字の普及を計ったのでは無いかと私は考える
特に尊皇攘夷論から始まり「記紀」の内容を真実とした 皇国史観を強力に押し進めた明治以降 それ以前に
研究されていた「やまと言葉」に関する事柄も含め全て封じ込められ 結果今日の「記紀」以前には古代文字は
存在しない」という 歴史認識が一般的になったのではないかと思われる
しかし現在では ホツマ48文字をはじめとする 古代文字の存在が在野では論議を呼んでいる
ここでは この議論にかかわることは本意ではないので 大和言葉の「は」「し」について考えてみようと思う

【は】は物の縁(へり)や先端をあらわし 漢字の【端】【は】と訓読みする 例えば「端材-ハザイ」
「端切れ-ハギレ」など また【端】【ば】と訓読みすることもある 「下端-シタバ」「軒端-ノキバ」などが
例としてあげられる この【は】【ば】の使い分けは 【は】は縁(へり・ふち)や先端を表すのに対し
【ば】は末端を表す言葉で 先端の「は」と末端の「ば」の間を 大和言葉では古来より【は・ば】といい
漢字の【幅】をあてはめたのである
【し】は「支える」または「渡す」の意味があり 同時に支えて渡すの意味もある 漢字の【支】をあてはめた
古代において川にさし架ける橋の形態は 安全上2本の丸太を渡すことが多く
【箸=はし】はこの形を元にした言葉であろうと言われている

国土交通省の『道路施設現況調査要領』では 橋梁を「河川 湖沼 海峡 運河などの水面を越えるため
あるいは水のない谷 凹地または建設物や他の交通路などを越えるため 桁下に空間を残し架設される道路構造物で
橋長2.0m以上のもの」と定義している また橋梁の中において橋・高架橋・桟道橋に分類し そのうち橋とは
河川・湖沼・海峡・運河・谷などの水面(出水時に水面となる場合も含む)をこえることを 主たる目的とした
橋梁を指す いわゆる「橋」は水面を渡る物で
その他水面以外を渡る物は「・・橋」と呼ぶ 例えば「陸橋」「歩道橋」のように呼ぶ

鉄道においては 線路の下に空間を確保しその上に鉄道を通す場合を「橋梁」と称すとなる 盛土の下にある
アーチ橋はしばしば「暗渠」と称するほか 「構築」「摂渠」などと書き表される場合がある 旧国鉄では
一径間の橋台面間長が1m以上のものをいわゆる「橋梁」としており
それ未満のものは「下水」「伏樋」などとして扱っていた
さらに橋梁のうち 一径間が1m以上5m未満のものを「溝渠(カルバート)」と総称している
また「開渠」(線路の下に敷石・盛土のないもの)に対して 覆土のある函渠と洪渠を総称して「暗渠」と呼んだ
したがって一般に鉄道のアーチ橋と呼ばれているものは 「橋梁」のうちアーチ構造を主体とするもので
そのうち一径間が1m以上5m未満で覆土を持つものを特に「洪渠」と称するが その上位の概念である
「溝渠」「暗渠」「橋梁」と呼ぶ場合もある このように鉄道に関しては意味難解である

難解な文章であるが 要約すれば 川・湖・海峡・運河など越えるためか 谷・凹地・通路(道路)・鉄道などを
越えるため桁下に空間を残して架設される道路構造物で橋長2.0m以上のもの つまり桁下に空間のない物は
「堤」であること 余り径間の小さいもの橋長の短いものは 橋ではないと言うことである
例えば川幅いっぱいに「堤」を渡しその下に水路を設けた物や 後に水路を穿った物は橋ではないこと
古い鉄道施設の場合はこの構造が多い 一般的に溝と呼ばれる狭い水路の蓋も橋ではないこと
水路を穿った後に埋め戻した物は暗渠であること などだが
概念の相違が生じることは必然である 実際の例では院内町・石橋の内 大副池橋は橋ではなく
「暗渠のある堤」であり大畑橋はその規模から橋とはならない また石板を渡した溝蓋などは橋にはならない
溝に架かる石板を橋と呼ぶにはあまりにも数多く 全国津々浦々を廻ったとしても数えきれる物ではないし
数に入れるべきではない 当「石橋巡礼」では 人力で跨ぐことが不可能な「スパン」を半間(約90cm)とし
それ以上の「スパン」を持つ物を「橋」とし また設置するにあたり「普請」の痕跡がある物を「橋」とする
単なる置き石や溝蓋は橋とはしない 神社仏閣等において「橋名」があるもの または欄干・親柱などの
造作があるものは例外として「橋」とする場合がある これはあくまで主観であって気分で決まる
上記の理由等により 数の「カウント」及び数値の「測定」はしない
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