佐賀県唐津市相知町平山上蕨野  蕨野の棚田

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平成11年・日本の棚田百選に選定  国の重要文化景観指定
選定範囲:八幡岳(764m)の北斜面に広がる棚田とその後背地等

石垣棟梁と村人でつくられた優美な「蕨野の棚田」

棚田は江戸中後期から昭和20年代にかけ 地元農家によって造成された八幡岳北斜面の約40ha(現在・約36ha700枚)にわたる
国内最大規模の棚田である 石積みの構造は 山麓に堆積した玄部岩を積んだ野面積みで 石積みが勇壮に連なっている様子は
山城を連想させる この棚田の築造には大きく二つの特徴がある 一つは「石垣棟梁」と呼ばれる石工とこれを手伝う村人が
手間講(てまこう)という協同の石築作業を行い 山腹を開墾し形成された石積棚田であること もう一つの特徴は
棚田に水を配分する 暗渠という水利システムとその構造である 現在 石垣の中には最高8.5mという
日本一の高さを誇る石積みがあり 下段水田への導水を確保する暗渠が約200ヶ所残っている

後背地の八幡岳は 標高が低いにもかかわらず 自然林が多く残り 水も豊富に湧き出る この水こそが棚田の命なのである
棚田を守ることは 即ち山を守ることと言って良い しかし近年後背地に竹林が増え 耕作放棄地が点在するのも事実である
地元では 棚田米の生産と販売を担う蕨野棚田保存会を組織し 自治会・消防団・婦人会などで「棚田と菜の花実行委員会」を組織し
都市住民との交流事業を行っている また 文化的景観保全管理計画を策定し 積極的に景観の保存に努めている

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