宮崎県えびの市大河平  享保用水と太鼓橋・靉靆橋

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国登録有形文化財 享保水路太鼓橋  登録日 平成16年3月4日
太鼓橋は 享保用水の途中にある有島川を越えさせるための二重輪石による石造アーチ橋である
太鼓橋は 110cm×50cm×50cmの石を積み上げ 橋長34m 幅員8.8mの用水路兼農道となっている
橋の壁石は勾配をつけて積み上げられ しかも勾配の途中で段差がつけられていて 学術的にも希少型とされている
橋の中央を幅1.6mの水路が通り両側に農道がついている 橋が出来る以前は 大雨により度々水路が流出しており
江戸時代末期(1850年頃)にこの太鼓橋が築造されたが その詳細な築造年月は不明である
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享保用水
えびの市飯野平野の 川内川本流と支流池島川との間にある水田約150haを潤す農業用水路である
言い伝えによると 飯野平野は 広大な土地がありながら 水の便が悪く水田利用が出来ない状態が続いたが
瑞山寺の僧が水利計画を思い立ち 村民の総意を得て 享保17年(1732)に フランス山の上流約200mの位置に
井堰をつくり 飯野平野に水を引く計画を立てたとされる その後 距離6.8km 幅2.1mの用水路を 山を掘削し
隧道5ヶ所を設ける難工事で 当時は測量器具もなく 夜間に提灯を利用して高低を測定し 困難の末に完成した
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下流の靉靆橋 宮崎県えびの市大字杉水流字前田 登録有形文化財(建造物)
太鼓橋の約1km西方に位置する橋長13m 幅員10mの石造単アーチ橋 天端の南寄りに水路を通し
その北寄りを人吉街道とする水路橋兼道路橋である 迫石の二重積み・橋下の川底を切石敷きし
川底の下がるのを防止するなど 小規模ながら丁寧な造作のアーチ橋である