春日集落は平戸島の北西部に位置し 隠れキリシタンの集落であった
標高514.2mの安満岳(やすまんだけ)から伸びる二筋の尾根に挟まれた長さ1キロほどの谷状の地形上にあり
県道平戸田平線が開通する以前は山越えで山中町の中野地区へ抜けるか 船で辰ノ瀬戸を渡り生月島の
舘浦へ行くしかなく外界から遮断されていた また冬季は季節風が強く船が出せない日が続くため
潜伏キリシタンが密かに暮らすには最適であったと言えよう
隠れキリシタンが切り拓いた耕作地は1100ヘクタールあり
棚田の景観が対岸の生月島とともに
「平戸島の重要文化的景観」の名称で文化財保護法に基づく重要文化的景観として選定されている
島原の乱以降はキリシタン弾圧が強まり 仏教・神道や土着の民間信仰を装い「納戸神」や「マリア観音」を奉じた
特に春日集落では、集落内の丸尾山や背後に聳える安満岳を遥拝の対象とする自然崇拝の要素も採り入れ
口伝のオラショを秘かに唱えるなど 自ずから徐々に本来のキリスト教から乖離していった
明治6年に禁教令が解かれた後もカトリックに復帰せず 独自の信仰を続けているため教会堂は設立されていない