2016.03.15 長洲萩の散歩 藪ツバキの群生林

笠山 住所:山口県萩市大字椿東
笠山には沖を流れる暖海流の影響で暖地性植物が多く植生する 江戸時代には萩城の鬼門方角に当たるため
長洲藩では笠山への立ち入りを厳しく規制し 樹木の伐採や鳥獣の捕獲を禁止していた
その為 全山が原生林の様になって大木に覆われていた 明治になって入山禁止の令が解かれ
大木は切り倒されて用材となり 雑木類は薪炭用に伐採されるなどして 昔日の面影はなくなった
大正時代には牧野となって大規模な乳牛の放牧が行われた
椿の群生林内には 今も放牧地の名残として石垣(牛の垣)を見ることができる
現在 笠山北端にあたる虎ヶ崎周辺の土地・約10haの広さに約25,000本の藪ツバキが自生している
開花期間は12月上旬〜3月下旬で 見ごろは2月中旬〜3月下旬頃で同時期に「萩・椿まつり」が開催されている
この原生林の様な藪ツバキの自生地は 昭和40年代まで周囲の雑木と共に何度も切り払われ
切られた木々の切り株から新しい芽が伸びて雑木の中に藪ツバキの赤い花が散在するような状態が続いていた
昭和45年(1970)に著名なツバキ研究家である渡辺武薬学博士が ツバキの調査のため萩を訪れた際に
当時の菊屋嘉十郎市長に「ここの雑木やつる草を取り除けば立派なツバキ林として観光地になる」ことを進言した
以来 萩市は雑木の伐採や観光道路の整備などに力を注ぎ 現在見られる藪ツバキ群成林が出来た
群生林内は遊歩道が整備され 地上約13mの展望台からはツバキ群生林や日本海が一望できる
平成14年(2002)8月に萩市指定天然記念物に 平成27年(2015)1月には「池坊花逍遥100選」に認定された
今では ツバキが萩市の花に制定されている
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虎ヶ埼燈台 初点灯 昭和34年(1959)9月 
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虎ヶ埼から西方向 鯖島と背後の青海島
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樹が大きく下からは花を見ることができない ここでは落ちた花を鑑賞する
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赤いツバキの花言葉
日本では  控えめな素晴らしさ・気取らない優美さ・気取らない魅力・見栄を張らない・慎み深い
高潔な理性・謙虚な美徳など 一重の花によせて 奥ゆかしくも凛とした感じがある
それに比べ西洋では 「あなたは私の胸の中で炎のように輝く」「吾が運命は君の掌中にあり」など
歌劇カルメンに象徴されるような 八重咲きの「ほとばしる情熱」を感じる
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展望台から見る椿の群生
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樹上から見る椿
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せめぎ合いながらも譲歩し合う木々
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椿園
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大実椿の実は直径が10cm程になる
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地下で海と繋がるエビ池
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阿武火山帯に含まれる円形溶岩台地の「羽島」 虎ヶ埼の西方1.5kmにあり
周囲を断崖に囲まれているが南側に港がある 現在は無人島となっているが 嘗ては中世期から人が住み始め
近代には小中学校の分校が開設された しかし定期船もなく島内では飲料水も自給できなかった
昭和46年(1971)に集団移転して無人島となった 一時キャンプ場として使用されたが現在は閉鎖されている
今も数軒の廃屋とキャンプ場の施設が残っている
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