2014.04.08  大分県宇佐市南宇佐宇佐神宮内 宇佐参宮線26号機関車

<掲示板> 宇佐参宮線26号機関車  大分県指定有形文化財
この機関車は、明治24年(1891)にドイツ・ミュンヘン市のクラウス社が製造、明治27年に
九州鉄道(株)(国鉄の前身)が購入し活躍していましたが、昭和23年機関車の大型化に圧され
大分交通に譲渡の後、宇佐参宮線の主役になりました。
宇佐参宮線は、大正5年(1916)3月開業し、昭和40年8月に廃止されました。
二六号機関車は形式10、製造番号 2550号、最大長 7.509m、高さ 3.546m、幅 2.546m、
運転装備時重量 23.36tで、実に71年間にわたり活躍しました。
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同形の明治鉱業17号(元・九州鉄道6号 旧・鉄道省10形17号機)

クラウス機関車ミュンヘン工場の創業は1866年(慶応元年)で 創設者はゲオルク・クラウスである
創業から1961年まで 12,000台を超える小型機関車を製造した 一般的にドイツ製の機関車は堅牢で
効率がよく牽引力も強かった 日本に初めてクラウスを導入したのは 明治21年(1888)の伊予鉄で
軽便用機関車を2両購入している その後第一次世界大戦でドイツが敵国となるまで輸入は続き
総数は113両の機関車が日本へと渡ってきた その多くは九州及び四国で使われ その他僅かながら
関東・関西へも進出したが 遂に官営鉄道への直接販売は実績をつくることが出来なかった
日本へ渡ったクラウスは全てタンク機で 九州鉄道にはこの10形と同形の機関車が 20両導入された
その他 栃木県の両毛鉄道1両 埼玉県の川越鉄道2両 多摩の甲武鉄道2両の合計25両が全てである
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明治29年(1896)九州鉄道八代駅開業記念写真のクラウス
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九州鉄道11号(鉄道省10形22号機)
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鉄道省10形25号機(旧・九州鉄道14号)名古屋で活躍 鳥栖配属の26号機とともに国鉄最長命

各鉄道の国有化に伴い九州鉄道保有の18両と 九州鉄道から紀和鉄道を経て関西鉄道に渡った2両
甲武鉄道の2両 両毛鉄道から日本鉄道を経て房総鉄道へ再譲渡された1両を加え 同形の23両すべてが
鉄道院10形機関車となり 10号から32号まで連番が打たれ全ての車両が九州鉄道管理局内に配属された
手頃な大きさで高性能な10形は 国有鉄道廃籍後も多くが民間に払い下げられ長く使用されてた
国鉄に所属した23両のうち19両が民営鉄道へ引き取られている 譲渡先は次の通りである
No.10−14の5両が 明治44年(1911)博多湾鉄道に譲渡
No.15.17の2両が 大正14年(1925)東京横浜電鉄に工事用として譲渡 後に留萌鉄道へ再譲渡
No.16.18-24.27.28.30の11両は 大正14年(1925)八幡製鉄所へ譲渡されNo.210-220となった
その後各社で多くが廃車されたが 堅牢かつ高性能で長命を保ったため 留萠鉄道の15・17号機
大分交通26号機 その他 川越鉄道から防石鉄道に移った川越2号機の計4両が現在保存されている
留萌鉄道へ譲渡された15号機は 北海道沼田町の文化財に指定され
平成元年(1989)から「沼田町ふるさと資料館」内の専用庫で大切に保存されている
同じく留萌鉄道17号機は西武デパートのオークションで落札され個人所有となり 数々の遍歴を重ねたが
現在は 栃木県那須烏山市の那珂川清流鉄道で屋内保存 防石鉄道に譲渡された川越2号機は
現在・山口県防府駅近くの鉄道記念広場で静態保存されている
川越1号機は 買収した西武鉄道が多摩川線で戦後まで運行したが 建設省に譲渡後廃車となった
15・26号機はともに準鉄道記念物に指定されている 宇佐神宮の境内に保存される26号機は
九州鉄道19号として輸入され 明治24年(1891)製造 製造No.2550となっている

国有後・明治42年(1909)の鉄道院形式図による主要諸元
鉄道院形式10形 15−32号機(九州鉄道 4−14・19−32号機)
全長:7509mm 全高:3626mm 全幅:2546mm 軌間:1067mm 車軸配置:0-4-0
動輪直径:1120mm 弁装置:ワルシャート式ヘルムホルツ型
シリンダー(直径×行程):321mm×500mm ボイラー圧力:12.4kg/平方cm
機関車運転整備重量:25.50t 機関車空車重量(自重):18.10t
機関車動輪軸重(最大・第2動輪上):13.15t 水タンク容量:3.7立方m 燃料積載量:1.48t

大分交通へは 昭和23年(1948)8月に13号機 昭和24年(1949)4月に14.26号機が譲渡され
13.14号機が同番号のまま国東線で使用されたが ともに昭和29年・昭和30年に廃車となっている
26号機は低規格の路線で使用するため サイドタンクの高さを切詰めるなど軽量化改造を実施して
宇佐参宮線で使用されていたが 同線が廃止された昭和40年(1965)8月に廃車となった
廃車後は宇佐町に寄贈され 宇佐神宮内で静態保存されている
宇佐神宮のクラウス 鉄道院形式10形26号機
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